2012 Fiscal Year Annual Research Report
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22520421
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Research Institution | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
Principal Investigator |
上野 善道 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 理論・構造研究系, 客員教授 (50011375)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | アクセント / 南琉球諸方言 / 北琉球諸方言 / 消滅危機方言 / アクセント核 / 語声調 / 動的音調観 / 音調変化 |
Research Abstract |
南琉球諸方言のアクセント調査は,与那国島方言に力を注いだ。調査の意義を理解して協力してくれる話者が1919年生まれの高齢で調査が急がれる状況だったためである。用言の活用形では,今回も300語強について7つの活用形のアクセント資料を提示した。それとは別に,未発表であった体言語彙のアクセントのまとめも行なった。報告したのは,金田一語彙のほとんどとそれに関連する複合名詞,および1拍から6拍までの補充語彙である。これらの報告で主要な資料はかなり揃い,少なくとも1単位形であることが確実な単語においては3型アクセントであることがはっきりした。一方で,同一語の活用形におけるアクセント系列の一貫性も,複合名詞とその前部要素との間のアクセントの複合保存も成り立たないことが明らかになった。今後の一番の課題は,3型に納まらないように見える複合語のアクセントをどう認定するかという問題である(1単位形か2単位形か,後者の場合にその後部要素の型をどのように認定するかなど)。 北琉球方言では喜界島方言をあらためて詳しく調査し,中南部の6方言について最新の解釈案を示すとともに,それらの間の歴史的変化も明らかにした。理論的に重要な点は,二型アクセント体系の中で語声調と昇り核が共存していること,そして,撥音に特徴があって語声調の上昇は担えるのに昇り核は担えないという特異性があることである。次に,特異な三型アクセントである同島北部の佐手久方言は,以前の報告を補訂して新しい考えを述べた。 日本語のアクセントの捉え方について,下げ核,昇り核,上げ核の3つのアクセント核を設定するという動的な音調観を英語で発表し,併せて,昇り核と上げ核は上昇と下降が左から右にずれる変化によって下げ核から生じたとする考えも述べた。この考え方を朝鮮語にも適用し,慶尚道方言と中期語との関係が通説とは反対になるとの新説も述べた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)