2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520426
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
塩原 朝子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (30313274)
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Keywords | 言語学 / インドネシア諸語 / 統語論 / 形態論 / 態 |
Research Abstract |
本研究の目的はスンディック諸語の態のシステムに関する比較研究である。 今年度は、スンディック諸語のうち、比較的研究の進んでいるミナンカバウ語、マレー語(インドネシア語)、ジャワ語、マドゥラ語、バリ語に関してAdelaar (1996)が再建したマレイック祖語の該当部分と対照しながら、特に以下の接辞に関してデータを収集した。 ・Actor Voiceを標示する鼻音接頭辞(Proto Malayic (Adelaar (1986, 1992))の^*mAN-) ・Undergoer Vbiceを標示する人称接辞および受動接辞 ・「中動」的な内容を表す動詞を派生する接辞(Proto Malayicの^*mbAr-) ・applicativeの接尾辞(Proto Malayicの「増項」要素^*akAnと「所格」接辞^*-i) その一方で、上記の接辞^*akAnに関して現代マレー語における対応形-kanの共時的研究も並行して行い、この接辞が、受益動詞を形成する機能の他に、いわゆる三項動詞(動作主以外に二つ以上の個体が関与するような状況を表す動詞)を語基とする場合、動作主が直接接触するような個体がUndergoerであることを示す機能を果たすこと、また、この機能を受益動詞を形成する機能とは別個に考えることによって-kan形の動詞が持つ両義性の説明が可能になることを明らかにした。この成果は、5月にミネソタ大学で開催されたISMIL14で発表した。
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Research Products
(3 results)