2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520461
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
新田 哲夫 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (90172725)
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Keywords | 安島方言 / 音変化 / 重子音 / 漁業語彙 / 風位語彙 / N型アクセント / 3型アクセント / 海女文化 |
Research Abstract |
平成23年度は、福井県安島方言における音韻に関する補充調査を行い、さらにこれまでの成果について『音声研究』に論文を発表した。この論文では、本土方言に見られないffの重子音を中心に共時的・通時的な考察を加え、琉球語宮古八重山方言との類似点と相違点、特に音変化の違いについて明らかにした。安島方言の音変化で想定されたプロセスほ、琉球語の音変化を考える上でも寄与することを指摘した。また漁業関係の語彙調査を継続して行い、海女の漁法に関する語彙、魚類・海草類の語彙を収録した。 また安島だけでなく、さらに南の越前町小樟、同町米ノにおいて、風位語彙の調査を行った。風位語彙と実際の方位、風のうつろい、風位語彙の消失過程について明らかにした。特に「風のうつろい」に関しては、同じ方位の風であっても、どの風から移ってくるのかによって弁別され、別の命名がされることを指摘した。この成果については、第92回日本方言研究会研究発表会で発表した。また小樟においては、アクセントの研究も行った。従来N型アクセントのうち、2型アクセントと言われていた三国安島方言と対照的に、3型アクセントであることが初めて明らかになった。 海女文化について広く知るため、北陸地方おいて、海女漁法が盛んな石川県輪島市海士町において、海女の語彙に関して予備的調査を行った。海士町民は舳倉島の漁業権をもっているが、比較的閉鎖的な集団であり、安島方言とは多くの点で異なることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コンサルタントとの時間調整がうまくいかず、当該方言の語彙調査がやや遅れ気味である。また同様の理由で、映像資料の収録が不十分である。
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Strategy for Future Research Activity |
当該の安島方言の語彙調査、談話資料の収録進めながらも、近隣方言の越前町方言等にも配慮した対照研究も進めて、バランスをとる。
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Research Products
(2 results)