2010 Fiscal Year Annual Research Report
奄美諸島方言における社会構造の変容と方言敬語法の変容過程の研究
Project/Area Number |
22520470
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
町 博光 広島大学, 教育学研究科, 教授 (10116668)
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Keywords | 奄美諸島方言 / 方言敬語法 / 社会変容 / 古仁屋 / 伊仙 / 知名 / 古態 / タバーリ |
Research Abstract |
世界の危機言語の一つとして、ユネスコからも指定されている奄美諸島方言の方言敬語法の調査をおこない、統一的な記録法で保存活用するのが本研究の目的である。 本年は、統一的な調査表に基づいた調査を各地で実施することとなった。奄美諸島の各島で同一調査表に基ついた調査を実施できたことはおおきな成果である。現在、調査成果を整埋し、一覧表を作成しているところである。 調査できた地点は、(1)徳之島町亀津(2)伊仙町伊仙(3)沖永良部島知名町具志検(4)与論町茶花(5)瀬戸内町与路の5地点である。それぞれの地点で、調査表にもとづいた体系的な調査を終えることができた。 これらを概括しただけでも、奄美諸島方言の中での敬語の用法差が浮き彫りになり、興味深い事実が多く明らかになった。奄美大島での北部の敬語法の簡素化、南部での古態(たとえばタバーリ敬語)などの残存がある。徳之島では、奄美南部の敬語法と、琉球方言(沖縄本島方言)の交錯した地点となっている。沖永良部は、かなり沖縄本島方言に近い。与論島の古態性と敬語動詞を多く残していること、敬語法の体系的な使用は特筆される。沖縄本島方言の影響を色濃く受けているものであろう。 初年度に調査した敬語法の体系が、未調査の喜界島やその他の集落で、どのように用いられているのか興味のあるところである。次年度は残余の集落の調査をさらに進める予定である。さらに文献学的な調査もおこなっていきたいと考えている。「昔は言っていたかもしれない」とか、「唱え言葉の中では聞いたことがある」などと回答してくださった方も多くあった。 徹底的な方言敬語法の記述の傍ら、歴史的な変遷にも目を配りたいと考えている。
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Research Products
(1 results)