2012 Fiscal Year Annual Research Report
奄美諸島方言における社会構造の変容と方言敬語法の変容過程の研究
Project/Area Number |
22520470
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
町 博光 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (10116668)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 方言敬語法 / 奄美諸島 / 複層性 / 簡素化 / taba:ri / 歴史的変遷 / 与論島方言 / 喜界島方言 |
Research Abstract |
消滅の危機に直面している奄美諸島の方言敬語法の調査をおこない、統一的な記録法で保存活用するのが本研究の目的である。敬語法は、方言の要素の中でももっとも年代差が大きく、また方言による変容の大きいことが指摘される。本年度はこれまでのまとめの年にあたり、確認調査を中心に研究をおこなった。「奄美諸島待遇表現調査表」をもとに調査できた地点は以下の10地点である。 ①与論町朝戸②与論町茶花③知名町具志検④和泊町和泊⑤伊仙町伊仙⑥天城町天城 ⑦名瀬市有屋⑧笠利町佐仁⑨瀬戸内町古仁屋⑩喜界町坂嶺 現在その整理をし、報告書にまとめている段階である。これまでの整理で把握できた特徴を以下に記す。まず奄美大島本島北部域での敬語法の簡素化と、南部域での古態性(たとえばtaba:ri敬語など)が指摘できる。徳之島方言の敬語法は、奄美本島の敬語法と、沖縄本島方言の敬語法の交錯した地点となっている。沖永良部島方言と与論島方言は、沖縄本島方言の影響を色濃く受けたものとなっている。taba:ri(賜れ)系の敬語が与論・沖永良部さらに奄美大島本島南部そして喜界島で使用されている。喜界島は、奄美大島本島に最も近いにもかかわらず、奄美大島本島と異なった敬語法体系を有している。奄美諸島方言敬語法の複層性が明らかになった。 将来の奄美諸島における敬語法の推移としては、敬語法自体がますます簡素化していくことが予想される。その典型が奄美大島本島名瀬市方言ということになろう。今後、報告集のデータを踏まえて、奄美諸島での敬語法の詳細な分布を把握し、沖縄本島方言の敬語法との対比的な研究、文献中の敬語法との比較を通した歴史的な研究を遂行する必要が急務である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)