2011 Fiscal Year Annual Research Report
法令・条例コーパスにおける言語変異・変化現象の研究
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22520480
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Research Institution | Kobe Shoin Women's University |
Principal Investigator |
松田 謙次郎 神戸松蔭女子学院大学, 文学部, 教授 (40263636)
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Keywords | コーパス / 法令 / 動詞活用 / データベース / 言語変異 / 内閣法制局 / 下からの変化 / 社会言語学 |
Research Abstract |
今年度は、まず法令データベースを購入して、前年度には準備段階であった法令における動詞活用変異の実態調査に本格的に着手した。その成果として、これまでは解釈に曖昧性の残った言語変化が、現実に生起しつつあること、それも動詞によってはこの10年くらいで大きく活用型の変化が進行しているケースもあるなどの重要な事実が判明した。この結果はさっそく松田(2012)としてまとめ、あわせて一般向けの啓蒙的な書き物として三省堂のウェブサイトにエッセイを発表した。 上記の調査結果は、同時にさらにさまざまな調査が必要であることを明らかにした。その一つは言語内的な要因の確認であり、もう一つは内閣法制局が法案執筆時に使用する各種の参考書あるいはテンプレートからの影響の可能性である。前者については24年度に集中的な調査を行うこととした。後者については、内閣法制局に文書公開請求を行い、参考図書や資料を明らかにした上で、複写が可能なものについてはこれをすべて入手した。24年度にはこれらをいったん電子化した上で、この中で使用されている例文中の動詞活用変異を確認することで、ここからの影響の可能性を吟味する予定である。 こうして法令における動詞活用変異の調査を進めていくうちに、条例における変異をカバーする余裕がないことが明かとなった。法令の活用変異が,予想をはるかに超えて活発な現象であり、またそこから派生する問題の広がりも大きいことが分かったからである。これだけで本研究プロジェクトを費やすに十分に豊かな内容を持つものであるということである。法令における変異を中途半端に終わらせて条例の変異に取りかかるよりは、まずは法令をひとまず区切りの良いところまで終わらせることが先決であるという判断に至ったわけである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
法令データベースによる調査から、法令における動詞変異の解明に向けて探査すべき課題が予想以上に大きいものであることが判明し、当初予定していた条例の調査を打ち切らざるを得なかったため。ただし、法令についてはほぼ順調なペースで進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.課題を法令+条例から、法令のみに集中する。 2.前年度に明らかになった諸問題の解決にまずは集中する。そのうちの主なものは、(1)法令における動詞活用変異にかかわる内的要因を確認することと、(2)文書公開請求によって入手した資料の解析を通して、法令執筆時の参考資料からの影響の有無の確認すること、の2点である。 以上2つの方策によって、最終年度で一応のプロジェクトのまとめが可能であると考える。
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Research Products
(3 results)