2010 Fiscal Year Annual Research Report
コーパス調査に基づく、英語の文法化プロセスの進展に関する定量的研究
Project/Area Number |
22520485
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
福田 薫 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (50261368)
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Keywords | 文法化 / コーパス / 頻度分析 / 法副詞 / 語用論的推論 / 背景化 |
Research Abstract |
現代イギリス英語およびアメリカ英語の大規模コーパスを対象とする調査に基づいて、副詞用法のno doubtおよびその類義表現の語法に関して定量的観点から特徴づけを行った。その結果、統計解析を通して以下のような定量的傾向を指摘した。 1.使用頻度は副詞用法>there be存在タイプ>I have所有タイプ>その他の名詞用法の順で固定している。副詞用法のジャンル別頻度は、小説に多く、会話に少ないのが特徴的である。 2.副詞用法のno doubtは法副詞とほぼ同じ生起分布を示すが、前置詞句を伴う変異形は単独生起や文頭・文末位置での生起が多い。 3.命題内容の真性に対する話し手の確信度は、PPつきの変異形がPPなしの場合よりも高く、さらに、中間位置よりも文頭・文末で高くなる有意な傾向が観察される。 4.背景化された文脈(すなわち、逆接接続詞に導かれる文、譲歩の従属接続詞に導かれる文)に生起する傾向は、類義表現の中で裸の副詞用法が最も高く、談話標識化が顕著である。 5.最近20年間において、これらの傾向は安定しており、顕著な変化は見られない。 さらに、上記1~4の事実に対して、当該要素の統語・意味的な特性、頻度要因および文法化メカニズムの観点に基づいて、言語学的に可能な説明を提示した。上記5については、通時的コーパスを対象とする調査分析を今後行う予定である。本研究は、法副詞表現の確信度に関するSimon-Vanderbergen(2007)らの主張の妥当性を実証する定量的傾向の指摘であり、さらには、Bybee(2010)などが主張する文法化における頻度要因の重要性を示すケーススタディを提供するものである。
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Research Products
(3 results)