2012 Fiscal Year Annual Research Report
コーパス調査に基づく、英語の文法化プロセスの進展に関する定量的研究
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22520485
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
福田 薫 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (50261368)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 文法化 / コーパス / ロジスティック回帰分析 |
Research Abstract |
2012年度においては、副詞的用法のno doubtの文法化プロセスを解明することを目指して、コーパス調査と統計解析を行った。これは、現代英語における副詞的用法の分析を踏まえて、近現代英語での変化を探る試みである。具体的には、CD版OEDを一種の史的コーパスと見なして、no doubtを含む引用文の検索を行い、特に副詞的用法602例を対象に詳細な頻度分析を行った。その結果、以下の事実を確認した。副詞的用法のno doubtは、(1)19、20世紀での使用頻度が先行する17,18世紀に比べて約2倍に急増している、(2)主語の後続し本動詞に先行する文中位置での使用が17世紀以降文頭位置や文末位置に比べて多いが、19世紀以降は他の生起位置を圧倒している、(3)文末位置では依然としてコンマを伴うが、文頭位置や特にAUX位置ではコンマを伴わない例が19世紀以降急増している、(4)butなどと呼応して、命題内容が後続文脈で否定的に修正されるパタンが形成されつつある。 以上はいずれも現代英語に顕著な傾向や特徴であるが、今回の調査はこれらが19世紀以降増加したことを示している。高い蓋然性を表す主観的表現は蓋然性が低下する可能性を内包しているが、福田(2011, 2012)では、高頻度化がこの種の変化を引き起こし、加速する要因であることを指摘している。副詞的用法のno doubtの使用頻度が19世紀以降急増している事実をふまえると、蓋然性の低下、AUX位置での生起の増加、コンマポーズの消失、テキスト形成機能の獲得などとの連関が強く推定される。大規模な史的コーパスを対象とする調査を実施して、ロジスティック回帰等の統計解析を援用して、no doubtの副詞用法の獲得と文法化に影響する諸要因の特定と影響の大きさを量的に計測することが求められる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)