2010 Fiscal Year Annual Research Report
言語研究資料としてのコーパスデータの客観性と信頼性に関する考察
Project/Area Number |
22520494
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大名 力 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 准教授 (00233205)
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Keywords | 言語学 / コーパス / 文法 / 語法 |
Research Abstract |
初年度の22年度は,対象・処理内容の明示化と基礎データの客観性・信頼性の問題を中心に作業を進めた。定性的分析だけでなく定量的分析が可能であることをコーパス利用の利点とする研究者は多いが,特別な訓練なしでも利用可能な"ユーザーフレンドリー"な環境の普及により,コーパス,手法,方法論等のブラックボックス化も進んでおり,コーパスデータによる定量的分析には問題も生じやすくなっている。このような現状を踏まえ,実際の研究を基に,基礎データとして示される頻度数に問題がないかを検証し,問題の原因および問題を回避するための方策について考察を行った。その成果の一部は,英語コーパス学会第35回大会招待講演「コーパス検索で注意すべきこと-基礎データの信頼性向上のために-」,および,日本ドイツ語情報処理学会招待講演「コーパス検索の落とし穴」において発表した。また,言語研究資料としてのコーパスデータの性質について,心的実在物として文法を捉える立場から,内省データ,実験データなど,他の種類のデータとの関係も考慮に入れながら検討し,その成果の一部を,日本英語学会第28回大会のシンポジウム「文法研究資料としてのコーパスデータの批判的検討」において発表した。このシンポジウムでは,司会として現状を整理し批判的検討を行う必要性を指摘するとともに,統語論・構文研究を中心に,文法研究資料としてのコーパスデータの特徴を整理し,統語論,意味論などの分野,具体的な構文等を示しながら,コーパスから得やすい情報,得にくい情報について検討した。
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Research Products
(4 results)