2010 Fiscal Year Annual Research Report
日英語と移動表現の類型論:直示性に注目した通言語的実験研究
Project/Area Number |
22520498
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松本 曜 神戸大学, 大学院・人文学研究科, 教授 (40245303)
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Keywords | 移動動詞 / 類型論 / 日英比較 / 直示性 / 経路 |
Research Abstract |
本研究の目的は、人や物が移動する現象を描写する移動表現において、言語間で見られる興味深い類型的な違いに関して、今まであまり注目されていなかった経路の直示性の表現(come,goなど)を考察することにより、新しい類型の全体像を示すこと、また、その検証のために、ビデオ映像を用いた発話実験を行ない、特に日英語の共通点と差異を実験的に示すことである。 最初の年度である平成22年には、仮説の確定と実験の準備を行う計画であったが、実際にそれを実行することが出来た。まず、研究対象の移動表現に関して今までの議論を整理し、また、諸言語における直示性の表現について調査を行い、「直示性に基づく類型」を確定した。英語と日本語に関して言えば、英語は様態と直示が競合する言語であるのに対し、日本語は様態・経路・直示が共存する言語であるというものである。また、英語において直示が競合に勝って表現されると思われる要因をいくつか探り当てた。 このような論考に基づき、実験において調べるべき事項を整理した。研究手法に関しては、実験的研究の手法に関して学ぶとともに、実験に用いる、様々な移動事象を撮影したビデオクリップを制作した。それをもとに、米国と日本において試実験を行った。英語話者10名と日本語話者5名の被験者のデータを分析した結果、英語において様態との競合に勝って直示動詞が表れる条件として、話者とのインターアクション性という要因があることなどを見いだすことが出来た。 これと同時に本研究につながる前段階として行われた実験研究に関して、日本語で論文を発表することが出来た。
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Research Products
(2 results)