2011 Fiscal Year Annual Research Report
近代英語期口語表現の歴史語用論的研究-コーパス横断的アプローチ
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22520510
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
椎名 美智 法政大学, 文学部, 教授 (20153405)
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Keywords | 歴史語用論 / コーパス・アプローチ / 近代英語 / プラグマティック・マーカー / 呼びかけ語 |
Research Abstract |
本研究の目的は、現在では知ることのできない近代英語期における口語表現の特徴を、複数のコーパスを比較しながら、歴史語用論的視点から質的・量的に分析し、考察することにある。主として扱うコーパスは、研究者自身が編纂にかかわった『イングリッシュ・ダイアローグ1560-1760』である。このコーパスのドラマ部門のテクストについては、過去10年以上にわたって、主にプラグマティック・マーカー(とくに呼びかけ語)の分析をしてきたので、それについては、ほぼ全体像がわかっている。それを踏まえた継続研究として位置づけられる研究には、二つの重要な研究目標がある。ひとつは、同じ分析方法を使って、同コーパス内の未分析のテクスト、具体的には裁判記録、調書、会話マナーブック、小説等のテクストを調べ、結果を比較することである。この点については、昨年度末から分析を始めていたので、今年度もその分析を継続し、目標はおおむね達成できたといえる。もう一つの主眼点は、同類の他のコーパス、具体的にはヘルシンキ・コーパスを同様に分析することである。これについては、ヘルシンキ大学の研究チームによる先行研究が多いため、そのリヴューをするのに時間がかかっている。しかし、夏にヘルシンキ・コーパス・フェスティヴァルという学会があり、ヘルシンキ・コーパス以外のコーパスを分析している歴史語用論学者や、ヘルシンキ大学の歴史言語学者と有意義な意見交換をすることができた。また歴史語用論の重鎮である、ヘルシンキ大学のタービツァイネン氏、チューリヒ大学のユッカー氏との意見交換も有意義なものとなった。そこではまた、ウプサラ大学のクータ氏と出会い、来年度開催される歴史言語学の学会を紹介されたので、そこでの研究成果の発表の有無について検討して、今後の研究の継続と発展につなげていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内留学だったので、1年間、時間的には研究に専念することができた。しかしながら、家庭の理由(両親の病気、看病、死去、介護等)により、夏をはさむ数カ月間は物理的に研究に専念できない時期もあった。しかし、昨年度末に、かなり仕事を進めていたので、全体の計画のなかで見ると計画通りに進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの計画どおり、コーパスの分析を続けていきたい。研究上の個々の分析・考察の方法、内容については、これまで通りでよいと考えているが、コーパス関連分野は発展が著しい新しい分野なので、国内外の研究者との意見交換、情報収集、研修等によって、さらなる研鑽をつみ、分析方法等についての技術面で改良していきたい。今後はとくに、デジタル・ヒューマニチィの分野とのインターフェイスを視野に入れて進めていきたい。
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Research Products
(3 results)