2012 Fiscal Year Annual Research Report
病院文書の「ユニバーサル日本語化」に関する実践的研究
Project/Area Number |
22520530
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大谷 晋也 大阪大学, 国際教育交流センター, 准教授 (50294137)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
埋橋 淑子 大阪大学, 国際教育交流センター, 講師 (40402987)
スミス 朋子 大阪薬科大学, 薬学部, 准教授 (50402988)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | やさしい日本語 / ユニバーサル日本語 / 病院文書 / 問診票 / 異文化理解 / 異文化コミュニケーション |
Research Abstract |
23年度に作成した問診票を実際に病院で使用するとともに、その英訳を作成し、双方から得られたフィードバックを元に、よりよい問診票を作り上げていった。「「病院の言葉」を分かりやすくする提案」(2009.3)で、国立国語研究所が行った、語句の言い換えや説明を踏まえ、弘前大学人文学部社会言語学研究室による『「やさしい日本語」が外国人に命を救う』(2007.6)等の方法論を参考にしながら、医療関係者の文化と日常生活の文化の相違・医療制度や習慣の相違・論理展開や論理構成の相違・形式やレイアウトの問題・文章構造や文構成の問題等にも目を配り、わかりにくさを克服するための方法論を考察しつつ、改善を進めた。 まず、昨年度に一応完成した十数種類の問診票を実際の医療現場で活用し、医療従事者や患者からのフィードバックを反映することで、より適切な問診票の完成を目指した。作成された問診票は、英訳しやすさの観点からも検証し、翻訳者からフィードバックを得るとともに、大阪大学大学院言語文化研究科の院生諸氏、協力していただく公立病院の担当者等からの意見を参考にして改良を続け、改訂版を作成した。 また、本年度は、問診票以外の病院文書についても可能な限り網羅的にわかりやすくすることによって、インフォームドコンセントの充実や患者・家族の不安の解消に資することを目指し、病院内で比較的頻繁に使用される文書について、改良版を作成した。 さらに、地方自治体の人権国際課等とも協力して、緊急時に役立つ、外国人のための「救急・医療あんしんカード」を多言語で作成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定どおり、全診療科の問診票作成を終え、実際に病院での利用が始まった。また、その後、フィードバックを参考にしながら改訂を加えることができた。 問診票以外の病院文書の作成も開始し、比較的利用度の高いものについて完了することができた。 また、地方自治体の人権国際課等とも協力して、緊急時に役立つ、外国人のための「救急・医療あんしんカード」を多言語で作成した。
|
Strategy for Future Research Activity |
23年度に作成し、24年度から実際に病院で使用している問診票について、看護師等の職員からのフィードバックをもとに、よりよい問診票を作り上げていくとともに、作成した問診票の効果を検証する。また、24年度に作成した英訳の問診票については、本年度から病院での実際の使用を行い、そこから得られたフィードバックも日本語の問診票に反映していく。さらに、24年度から作成を開始した、病院内で使用される問診票以外の文書の改善を、より広範囲の文書について行い、病院での実際の使用を目指していく。 上記いずれも、医療関係者の文化と日常生活の文化の相違・医療制度や習慣の相違・論理展開や論理構成の相違・形式やレイアウトの問題・文章構造や文構成の問題等にも目を配り、わかりにくさを克服するための方法論を考察しつつ、改善を進める。 以上は、通訳ボランティア団体である「みのお外国人医療サポートネット」のメンバーや大阪大学大学院言語文化研究科の院生諸氏とともに検討を行い、協力していただく公立病院の担当者や職員等からの意見を参考にしながら進めていく。問診票のさらなる改善を目指すとともに、より広範囲の病院文書を可能な限り網羅的にわかりやすくしていくことによって、質・量ともに十分な蓄積を積み上げ、インフォームドコンセントの充実や患者・家族の不安の解消に資することを目指す。 本年度は本研究の最終年度に当たるため、作成した問診票とその他の病院文書を資料集として報告書にまとめることを予定している。
|