2011 Fiscal Year Annual Research Report
外国人児童への母語学習支援体制の構築に関する国際比較
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22520536
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
松田 陽子 兵庫県立大学, 経済学部, 教授 (80239045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野津 隆志 兵庫県立大学, 経済学部, 教授 (40218334)
久保田 真弓 関西大学, 総合情報学部, 教授 (20268329)
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Keywords | 母語保持 / バイリンガル教育 / 学習支援 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、下記の4つの側面から、外国人児童の母語学習支援体制に関する調査を行い、彼らの言語問題や学習支援、及び、アイデンティティの問題も含め、当事者側と支援者側の両方の現状を把握し、ニーズを明確にし、支援体制の構築に向けての考察を行った。 (1)外国人児童の家庭の意識や言語環境のアンケート調査(ベトナム語、スペイン語、ポルトガル語等)を継続して実施し、その分析を行った。たとえば、家庭で母語を教えているという回答が約7割を占めており、教えようとしたがうまくいかなかったという回答もあり、家庭での言語継承に困難を感じているという状況が伺われる。その他、家庭での言語環境や言語意識がある程度把握された。 (2)母語学習支援のためのウェブシステム構築に向けて、その基礎となるホームページの素案を作成し、一部の内容を掲載する所まで実現した。内容、及び、使いやすさなどを検討し、双方向システムを取り入れ、リンク先の検討を進めていくための予備研究を行った。 (3)母語学習教材やカリキュラムについて、ベトナム語母語教室を担当している講師の協力を得て、検討を進めた。 (4)国際比較調査として、母語・継承語・,バイリンガル教育についての研究と実践の最も進んでいると思われるカナダのトロントにて、現地調査を行った。言語・文化的多様性を活かしつつ、ハンディを補うために、いかなる体制で教育が行われているかを把握することができ、具体的な学習方法上のアイデア(特に、アイデンティティ・テキストの活用)、そして、支援する学校や家庭との連携をどう作っていくか、具体的な示唆を得ることができた。さらに、タイにおけるミャンマー系児童に関する調査で、NGOと行政や学校の連携の先進的な事例の研究を行い、支援のためのネットワーク形成についての研究視点を広げることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり、兵庫県での外国人児童の母語学習支援について、学校での状況と行政やNPOの活動の調査を進めている。ウェブ構築による母語学習支援のための情報ネットワークについても、ホームページの基礎を作成した。さらに、ベトナム語・スペイン語・ポルトガル語等の母語学習児童の家庭の意識・環境調査を実施し、分析の第一段階を終えた。国際比較研究としてのカナダ・タイ調査も予定どおり実施し、多くの調査データを集めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は研究期間の最終年度であるため、補足調査と全体の総括、そして、母語学習支援のためのウェブ構築を完成させることを目指す。まず、母語教育カリキュラムモデル案の検討、教材や資料の収集を継続して行い、ウェブに掲載していく。母語学習支援のための意識・環境調査の補足調査を行い、現状を踏まえた学習支援の提案のための分析をさらに深めるための研究討論を関係者と共に行う。カナダ(トロント)調査を再度継続して行い、現地での研究者や関係者への面接調査と資料収集を行う。ウェブサイトの運用上の問題の検討も行い、最終報告書を作成する。
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Research Products
(3 results)