2012 Fiscal Year Annual Research Report
スペイン語・ポルトガル語近親言語文化圏間の外国語教育と相互理解の諸相
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22520559
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水戸 博之 名古屋大学, その他の研究科, 教授 (80262921)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 異文化コミュニケーション / 外国語教育 / 社会言語学 / ポルトガル語 / スペイン語 / 多文化共生 / 大学の社会連携 / 芸術諸学 |
Research Abstract |
主な平成24年度の研究活動は以下の3プロジェクトである。 1)連携研究者・野内遊のメキシコ中西部地方グアナファト州調査。3月1日から3月13日に渡り調査旅行を行った。一般にアメリカ合衆国の影響が強い地域における、欧州や日系企業の進出を視野においた外国語教育や北米のスペイン語メディアの状況、新興大国ブラジルのメキシコの地方都市における存在感など、数多くの新知見が得られた。帰国後間もないことから、詳細な収集資料の分析と検討結果が待たれる。 2)講演会開催:テーマ「在日外国人の現状―大学ができることは・・・―」3月30日に名古屋大学において、東海圏のブラジル人コミュニティとペルー人コミュニティで活動するNPO2団体の各代表者を講師に招いて行われた。地域社会における異文化理解や共生のための実践活動と大学における関係する研究分野との協力や連携の可能性について様々な視点からの発言がなされた。講演の後の質疑応答においては、フロアから行政関係者をはじめ関東や関西圏の研究者との活発な意見交換が行われた。 3)中間報告書の作成。本報告書は、開始年度平成22年度から平成24年度までの3年間の研究成果をまとめたものである。本研究は平成26年度まで通算5年継続する予定であるが、すでにかなりの知見が得られ、幾つか成果も表れ始めたことから、第3年度の終了時に中間報告を作成するのが適当であると判断した。編集方針と収録内容は、以下のとおりである。1)各年度単位に研究報告と成果をまとめる。2)未発表の研究や活動記録、発表後大幅に加筆修正した論考を掲載する。なお、PDF版と印刷冊子版と2方式で作成を行ったが、3月29日に冊子(本文94ページ)が完成し、上記講演会の参加者に配布された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況は順調であり達成度も十分なものであるといえる。 本研究は、言語的に広義のスペイン語・ポルトガル語圏、地域的には主としてラテンアメリカをフィールドとする言語、外国語教育、音楽、メデイア、人口移動、食文化など各分野5名の研究者の連携によって行われている。平成22年度の開始から、各年度、連携研究者を拡充しつつ海外調査と、研究組織が構成する「スペイン語・ポルトガル語言語文化圏研究会」主催による関連分野の専門家を招聘した講演会の二つの活動を中心に展開してきた。第3年度である平成24年度末において、今までの研究成果を中間的とはいえ冊子体の報告書として発表することができた。毎年度の海外調査と講演は必ずしも実施が容易なものではなかったが、研究参加者の協力により全て完了することができた。以上のことから、当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
近親関係にあるスペイン語とポルトガル語2言語文化圏を一つのカテゴリーとして総体的に把握しようとする試みは、ブラジルの国際社会における存在感が近年飛躍的に増大しつつあることによって新たな段階に至っているように思われる。すなわち地理的にも多くの場合隣接していながら交流のなかった2言語文化が萌芽的とはいえ、相互に認め合い文化的社会的に新たな創造を開始したということである。他方、北米におけるスペイン語系住民の社会的役割も今までのマイノリティの概念には収まりきらないものになっている。これらの状況の変化は、日本国内における経済危機後のペルー系を中心としたスペイン語系コミュニティとブラジル人コミュニティにも少なからぬ影響をおよぼしていると思われる。従来、地域研究の範疇で扱われてきたこれらの事象をグローバルやグローカルといった視点とはまた異なる言語文化圏というカテゴリーにおいて検討することの有効性は、これまでの3年間に蓄積された様々な知見により裏づけられるものと思われる。 具体的には、前年度に引き続き、最終年度(平成26年)まで、次の3プロジェクトを中心に研究を進める。1)海外調査、2)講演会開催、3)講演記録等、研究成果報告の作成(PDFと印刷媒体の2方式)。
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Research Products
(6 results)