2011 Fiscal Year Annual Research Report
デジタル時代の新しい剽窃の定義と英文ライティングにおける指導について
Project/Area Number |
22520625
|
Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
吉村 富美子 東北学院大学, 文学部, 准教授 (80310001)
|
Keywords | 剽窃 / 他人の文章の借用 / 英文ライティング / 定義 / 指導法 / plagiarism / academic writing / scaffolding |
Research Abstract |
本研究の目的は、近年英語圏において「剽窃」および「他人の文章の借用」がどのようにとらえられているかを整理し、その変化の中で英文ライティング指導をどのように行うべきかについて理論的研究を行うことである。この目的に従って、平成23年度は、関連書籍や論文を読み、平成22年度に行った研究に基づいて、剽窃問題の本質を整理し、日本では剽窃および引用と英文ライティングをどのように教えたらいいのかについて提案を行う予定であった。 剽窃問題の本質は、研究社会という新しい世界への移行の問題として位置づけることができる。アカデミック・ライティングにおいては、他人の言葉や考えを適切に引用しながら、自分の言葉で自分主張ができるかどうかという問題である。ただ、大学に入ったばかりの学生に、初めからこのような態度を期待できるわけではない。指導が必要である。したがって、盗用の問題は、学生をどう教育していくかという視点から見たら、教育の問題であるとも言える。 剽窃問題について指導する場合には、このような盗用問題の本質の理解に基づくべきなのだが、日本においては、自分の言葉としての英語力や英文ライティング力の不足、文化的な価値観の違い、教育的な背景の違いなども考慮して指導を行わなければならない。自分の言葉としての英語をもたない段階の学生たちに自分の言葉で英文を書くことを教えなくてはいけない。最終目標として剽窃の指摘を受けない英文を書かせるためには、ジャンルアプローチのscaffoldingという考え方に則って、指導のプロセスを分けて英文ライティング指導を行い、盗用の扱いもその発達段階に応じた適切な扱いをする必要がある。 以上が、盗用問題の本質のまとめと提案した指導法の概要である。この概要を文章としてまとめることができ、平成24年度の学会発表の準備ができたのが平成23年度の研究成果であったと言える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献研究のまとめがだいたいできて、平成24年度に学会発表する準備がだいたい整ったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、最終年度なので、論文を完成させ、大学英語教育学会(JACET)、全国語学教育学会(JALT)第二言語ライティングシンポジウム(SSLW)などで発表する予定である。研究計画では、英語で論文を作成することにしていたが、本研究の主要なaudienceは日本の大学においてライティングを教えている先生たちであるため、日本語で報告書を作成することに予定を変更した。ただし、学会発表は英語で行う予定である。
|
Research Products
(1 results)