2010 Fiscal Year Annual Research Report
在中国日本関連遺跡及び記念物の基礎研究-中国における日本イメージの形成をめぐって
Project/Area Number |
22520647
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
王 暁葵 愛知県立大学, 外国語学部, 非常勤講師 (80423846)
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Keywords | 戦争記憶 / 異文化イメージ / 南京大虐殺 / 戦争記念館 / メモリアル / 中国 / 広西戦 / 桂林 |
Research Abstract |
平成22年度は本研究を開始した最初の年にあたる。調査研究計画に基づき、2回の海外実地調査、1回の国内実地調査、5回の学会研究報告・特別講演を行った。 第1回海外調査は、8月、中国・南京市において実施した。南京市にある南京大虐殺を記念する「南京大虐殺記念館」では、調査日とした8月15日、すなわち終戦65周年記念の日に、日中の関係者によって記念行事が行われた。同館では、記念館の建設、変遷、展示のあり方及び記念行事などを中心に、中国における戦争記憶と保存・表象のあり方を調査した。また、南京市に現存する従軍慰安婦の遺跡を訪ね、地元住民に対し、日本軍占領期間中の生活状況についてインタビューを実施した。さらに、南京大学高等研究院で開催された「近代中国の記憶の場-南京」国際シンポジウムにおいて、研究報告を行った。 第2回海外調査は、9月、中国・広州市、桂林市において実施した。 広州市では、日中戦争中に日本軍の空爆を受け、多くの村民が死亡した場所に建てられた記念碑「血涙洒黄華碑」を中心に調査を行った。この記念碑は民間人によって建てられた、現存する数少ない日本に関係する記念物で、現在広州市の指定文化財となっている。だが、記念碑の建設者はすでに死去しており、人々の空爆に関する記憶は薄れてきているのが現状である。この記念碑は、中国の地域社会において日本に関する記念物は年々風化していく状況にあることを知る重要な手掛りとなる。広西省桂林市では、1939年-1944年の広西戦の遺跡、特に当時国民政府によって造られた慰霊碑、戦争跡地の網羅的な調査を行った。 国内においては、2011年3月、東京・靖国神社の遊就館の戦争展示施設を訪ね、日本の戦争の記憶及び記録について調査した。これらは中国の戦争の記憶との比較材料となるものである。 12月20日、香港大学において、南京大虐殺記念館をめぐる中国の文化政策における日本イメージの形成について、研究報告を行った。
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Research Products
(6 results)