2012 Fiscal Year Annual Research Report
寺誌内文書と蔵人式による平安時代朝廷政治構造の研究
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22520662
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
佐藤 全敏 信州大学, 人文学部, 准教授 (20313182)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2013-03-31
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Keywords | 寺誌 / 弾正台 / 蔵人式 / 蔵人 / 宇多天皇 |
Research Abstract |
今年度は、集成した史料のテキスト化、および調査結果全体のまとめ・公表を行った。 まず、数多くの寺誌に収載されている文書類を最終的に整理した。一部、写本調査が未完の部分を残すも、従来あまり注目されてこなかった文書を集積できたと考えている。現在公表に向け、校合作業を続けているところである。 また、蔵人式についても、「寛平蔵人式」「延喜蔵人式」「天暦蔵人式」それぞれにわけて整理・校合がおわった。ただし、24年度の末に研究代表者の中間報告への修正をせまる論文が発表され、そのため現在、作業結果の再確認を行っている。 以上の調査をふまえ、今年度は以下の研究発表を行った。まず寺誌内文書の分析結果を利用した論文として、①「弾正台と日本律令国家」(『日本史研究』601号)、②「弾正台の弾と京中巡察をめぐって」(『日本歴史』772号)、③「弾正台研究についての覚書」(『信州大学人文学部人文科学論集』人間情報学科編47号)。これらは律令国家成立当初、なおその官僚制は律令制以前の様相を色濃く残していたこと、律令制導入により混乱が生じていたことを明らかにしたもの。また市民向けの講演として、④「歴史と美術の間―河内国観心寺如意輪観音像を例に―」(社団法人金鵄会公開講座「古典を読む」)を行い、平安初期を代表する仏像である標題の像について、寺誌内文書を駆使することによって、その制作年代・制作背景について全く新しい見解を示した。 蔵人式の分析結果を利用した口頭発表としては、⑤「蔵人所の成立をめぐって」(平成24年度延喜式研究会大会)、⑥「宇多天皇の文体―予備的考察2」(人間文化研究機構・国際日本文化研究センター共同研究)を行い、9・10世紀の蔵人の職務や、その拡張に大きく関与した宇多天皇の政治構想について検討を行った。このうち口頭で行った④⑤⑥については、平成25年度の内に活字化して公表される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)