2010 Fiscal Year Annual Research Report
王国体制下のコミュニティ支配に関する研究―コンバウン王国の事例から―
Project/Area Number |
22520722
|
Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
伊東 利勝 愛知大学, 文学部, 教授 (60148228)
|
Keywords | 前近代村落社会 / 前近代の「民族」 / アフムダーン / 騎馬隊 / Mandalay Diary / コンバウン王国 / カレン・オーダン |
Research Abstract |
まずインド史,タイ史,ミャンマー史の研究者を招請して研究会を開催し,前近代における村落社会研究の分析視角についての意見交換を行ない,これまで多くの研究が現代社会の抱える問題との関係を等閑視したところで展開されてきたことを確認した。次いで,前近代社会の人間観とりわけ「民族」意識に関する問題を,ミャンマーにおける古典歌謡(主としてカレン・オーダン)やインドネシアの古典舞踊を題材にして検討する研究会を開催した。その結果,前近代社会における「民族」呼称は,人間を入れる器の形を示したものにすぎないとの結論を得た。 これらと並行して,コンバウン王国において住民の半分を占めたアフムダーン・コミュニティの分布とその民族的属性を明らかにする作業を進めた。まず植民地時代最初期に出された,Settlement ReportやGazetteerに含まれる,県(District)ごとの社会経済調査記録から,王朝時代末期,各地に存在したアフムダーン・コミュニティの職能と分布のデータベース化を行ない,ザガイン県,パコックー県,ミンジャン県について完了した。その結果,中央平原地域には騎馬隊アフムダーンが主として存在するという仮説を得ることができた。またシュエボー県に限り,緬暦1145年(1783年)の人口調査簿から,村落別のアフムダーンとアティーの分布を明らかにし,シュエボー県とザガイン県について19世紀中期におけるアフムダーンの地理的分布を地図上で確認することができた。 この他,これまでミャンマーで発表されたコンバウン王国史関係の学術論文(博士・修士論文)64点のデータベース化を行ない,広く研究者の利用に供する体制を整えた。また19世紀後半におけるコンバウン王室の動向を知るうえで第1級の史料となるMandalay Diaryを収集・整理し,これを公開すべくpdf化した。
|
Research Products
(3 results)