2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520730
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
有光 秀行 東北大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (80253326)
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Keywords | 西洋史 / 中世史 / 近代史 / イギリス史 / ドイツ史 |
Research Abstract |
本年度は、19~20世紀のユダヤ系ドイツ人中世法制史研究家として、特にアングロ・サクソン法の編纂に功績のあったフェリックス・リーバアマンについて、(1)東京大学総合図書館の書庫に納められている「リーバアマン文庫」(現在利用できるカタログに明記されないが「文庫」に含まれると思われる文献をふくむ)に一点一点あたって、正確なカタログの作成作業を行うこと、その際、扉に書き込まれた献辞などの情報、本文中への書き込みの有無・多寡にも留意する(2)(1)にもとづきリーバアマンを中心とした知的交流の世界の再構成に看手することを中心に、研究を行った。さらに具体的に述べると、「文庫」既登録のドイツ語文献約430点にあたるとともに、未登録であったものを約80点あらたに発見し、これらについても内容を調査した。フーゴー・プロイス、ルートヴィヒ・リース、ハインリヒ・ブルンナー、ハロルド・ヘーゼルタインといった著名な学者たちとの知的交流や、ヴィルヘルム・ヴァッテンバッハら先学の著作の研究ぶりを具体的に知ることが出来た。また、あらたに見いだした文献の中には、リーバアマンがさまざまなところで発表した論文や書評、また関連文献を、自らの著作とひとつに製本しなおした特別版の書物もあり、これはそこに見られる書き込みと合わせ、彼が既発表の研究を自らどうとらえているかを分析する上で貴重な発見であった。さらにベルリンに赴いて、リーバアマンの生活・研究環境を具体的に把握したり、当時の地図の入手、反ユダヤ運動に関する知見を深める、などの成果を得た。"
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