2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520762
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
橋本 博文 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (20198691)
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Keywords | 古墳時代 / 豪族居館 / 変遷過程 / 官衙 / 邸宅 / 環濠集落 / 柵列 |
Research Abstract |
22年度は、古墳時代中期で栃木県最大の豪族居館、宇都宮市権現山遺跡の測量調査、発掘調査を実施した。居館の範囲確認、規模確認を第一の目的として調査を行った。南西調査区では堀に関連して、柵列と推定されるピットの列が、それにほぼ沿って平行に検出された。特に、堀が切れる辺りでピットの列は直角に曲がり、北に向かって延びている。堀と柵列が平行に全周して設置されない居館の例を加えることとなった。北西調査区では竪穴住居址が確認された。出土土器から居館の時期と同時期のものと判断された。北東調査区では井戸状の遺構が検出された。土器の出土状態から埋め戻しの際に祭祀を行っている可能性が指摘された。南東調査区東端では以前の調査で確認されていた堀(居館外郭溝SD95・SD225)の延長と推定される堀を検出できた。南辺は複雑な様相を示す。居館外郭溝SD95・SD225の続きの下に古い谷ないし堀SD-(1)を確認することができた。その底面直上出土遺物は、古墳時代中期前半、権現山SG1区編年1~2段階の可能性が高く、それを埋め立てて小規模な堀を掘っていると推定された。以上の成果は、現地説明会で公開し、資料整理の後、研究室報告で報告した。 併せて、堀の堆積物のサンプリングをもとにテフラ分析を行った。また、北東調査区で確認した井戸状遺構の最下層の堆積物の珪藻分析も試みた。堆積環境から、時期や古環境、遺構の性格などを検討する有効な情報を得ることができた。成果は次回の報告書に掲載予定である。 他に、同じ北関東の後期豪族居館、群馬県伊勢崎市今井学校遺跡の旧・赤堀町教育委員会調査分において未整理資料である土器の実測を実施した。これによって、同居館の変遷が明らかになった。 なお、本年度の日本考古学協会総会での研究発表会で成果の一部を発表し、新潟大学旭町学術資料展示館のサテライトミュージアムで展示する予定である。
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