2012 Fiscal Year Annual Research Report
古墳時代前期における小型古墳の展開と政治秩序の形成に関する研究
Project/Area Number |
22520763
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
滝沢 誠 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (90222091)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 古墳時代前期 / 小型古墳 / 墳墓要素 / 埋葬施設 |
Research Abstract |
本研究は、古墳時代前半期(前期~中期前半)の小型古墳(20m前後の規模)にかかわる墳墓要素を汎列島規模で検討することにより、小型古墳被葬者間の広域的な紐帯の存在を明らかにすることを目的としたものである。また、そうした作業をつうじて、大型古墳(有力首長)の分析とは異なる視点から、古墳時代前半期における政治秩序の形成過程を解明しようと試みたものである。 上記の目的を達成するためには、分析対象となる資料の詳細な調査を実施する必要がある。最終年度となる本年度は、過去2年間に調査を実施することができなかった資料に対象を絞り、岐阜県舟来山24号墳(東京国立博物館)、静岡県秋合1号墳・五鬼面1号墳・岩田山31号墳(藤枝市郷土博物館)、愛知県三ッ山2号墳(小牧市教育委員会)の各出土遺物について調査をおこなった。 こうした調査と併行して、主として東日本に分布する古墳時代前半期の小型古墳について分析をおこない、最終的な研究のとりまとめを進めた。とくに、①小型古墳に採用された埋葬施設の特徴とその変遷、②各地域内における小型古墳の成立と大型古墳の関係に焦点を絞り、検討をおこなった。その結果、①古墳時代前期末~中期前葉に成立する各地の小型古墳は、弥生時代からつづく方形墓とは質的な内容を異にし、一部の墳墓要素には列島の広い範囲で共通性が認められること、また、②そうした小型古墳が成立する限られた地域には同時期の前方後円墳や前方後方墳が築かれていないことが明らかとなった。 以上の成果を総合すると、古墳時代前期末~中期前葉に成立した小型古墳の被葬者は、各地の有力首長を頂点とする支配構造に単純に組み込まれていたわけではなく、むしろ共通する独自の墳墓要素の系譜から判断すると、ヤマト王権が志向したあらたな政治システムを体現する先駆的存在であった可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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