2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520769
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮本 一夫 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 教授 (60174207)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 上馬石貝塚 / 遼東半島 / 無文土器文化 / 弥生開始期の実年代 |
Research Abstract |
本年度は、上馬石貝塚報告書を作成するに当たっての基礎的な整理作業である遺構・遺物挿図の作成が完了し、また、主立った遺物の写真撮影も完了した。特に、土器製作技術の特色を検討し、偏堡類型の段階に外形接合やハケメ調整があることがわかり、こうした製作技術が後に韓半島南部の無文土器製作技術の起源であり、無文土器文化に影響を与えた発信源であることを初めて発見した。この発見は韓半島無文土器文化の成立を考えるに当たってきわめて重要な発見であるということができるであろう。この発見は、ひいては弥生文化の成立に置ける土器製作技術の転換を考えるに当たっても重要な成果であると言えよう。 また、遼東半島の土器編年を再考するに当たって、同時期の山東半島の先史文化を眺める必要があり、山東東部の資料調査を行った。特に、水田農耕の出現期を中心に調査し、それが遼東半島先史文化にどのような影響を与えたかを推論することが可能となった。 一方で、遼東における北方青銅器文化の影響や系譜関係がさらに韓半島にどのような脈絡で繋がるかを、北方青銅器文化の一つである有キョウ銅鏃において検討し、その成果を国際学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上馬石貝塚の発掘報告書を作成することがこの研究の大きな目的の一つであるが、既に基本的な記述部分とその挿図や写真撮影は終了している。また、石鎌などの石器の使用痕分析や土器の圧痕分析の原稿・挿図は完成している。しかしながら、その他の論攷部分の原稿作成は終了しておらず、次年度の課題として残っている。この状況は、当初の計画案に照らせば、おおむね予定通りの工程が為されている。また、土器作成技術の新たな解明ができたことは、大きな研究の進展であった。
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Strategy for Future Research Activity |
残っている論攷部分の原稿作成を完了させるとともに、研究報告書全体の編集を行う必要がある。その際に、必要な作図の作成や追加的な写真撮影の必要が出てくるであろう。さらに、全体の原稿を作成し編集した段階で、出版助成金などに応募し、研究報告書の出版に備える。また、比較研究としては、近年の中国側での発掘成果を盛り込む必要性があり、必要に応じて資料収集や中国人協力研究者との連絡を密にする。
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