2010 Fiscal Year Annual Research Report
パキスタン・インドの都市搾乳業の展開と屠場に関する研究
Project/Area Number |
22520802
|
Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
中里 亜夫 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (60044343)
|
Keywords | パキスタン / カラーチ大都市圏 / 都市搾乳業 / 屠場 / 搾乳業者 / パキスタンの酪農 / ランディー・ベンスー・コロニー / プリ(puri) |
Research Abstract |
平成22年度は、カラーチ大都市圏における搾乳業の展開と屠場に関する現地調査と資料収集を行った。現地調査は2回実施した。第1回は、平成22年12月22日から、同23年1月6日までの16日間、第2回は、同3月2日から24日までの23日間、合計で39日間であった。 研究の成果 1, 都市搾乳業は一段と発展し、全体的には8年間で飼育頭数は倍増し、新たにベンスー・コロニーが誕生していた。政府管理のコロニーが5ヶ所から6ヵ所に、その他に個人経営のコロニー形式の搾乳場が1ヵ所幹線道路沿いに展開。 2, 飼育規模の大きな業者(500以上頭数)は、搾乳業だけでなく、搾乳用素ウシ(水牛)売買つまり家畜商営業、ミルクの販売店経営や飼料販売など経営の多角化を、ジョイント・ファミリー、つまりファミリー・ビジネスとして拡大することで、経営の安定化を図っている。 3, 中規模飼育業者(150~500頭数)の多くは搾乳場を所有しているが、利益率低下などにより二極分解する動きがある。 4, 小規模飼育業者(80~150頭数)は、今年度のインダス川の大洪水による飼料価格の高騰で、最も苦しい経営に追い込まれており、また人件費の上昇などゴワラ(雇いの家畜世話人)のシフト制(数名の搾乳業者で搾乳時間をずらしてゴワラを共同で雇用)の採用やファームを数名で借用するなどコスト削減と同時に、また搾乳用水牛の飼育と併行し、一部搾乳業者は新たに肉牛肥育・飼育展開し、経営の多角化を図っている。 5, 屠場は、政府系の2ヵ所と個人経営の4ヵ所の計6ヵ所が認定された屠場として機能しているが、小家畜の山羊や羊などに関しては、無認可の個人経営の屠場がある。今回の調査では、認可もしくは無許可の何れの場合でも、個人屠場の調査は実施していない。次年度に補足調査として行いたい。
|