2010 Fiscal Year Annual Research Report
社会主義中国におけるエスニック・ジェノサイドに関する実証研究
Project/Area Number |
22520818
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
大野 旭 静岡大学, 人文学部, 教授 (40278651)
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Keywords | ジェノサイド / 中国 / 少数民族 / チベット / モンゴル / 文化大革命 / 青海省 / 内モンゴル自治区 |
Research Abstract |
本年度は主として1958~59年に青海省とチベット高原で発生したチベット族大量虐殺事件について、調査研究を実施した。夏季と冬季の二度にわたって現地の青海省のチベット人、モンゴル人居住地に入り、中国政府から「チベット反乱分子」と呼ばれている当事者たちから詳しい証言と資料を収集することができた。 1959年のチベット人による対中国武装蜂起は規模が大きく、青海省とその東隣の甘粛省を巻き込む形で勃発している。暴力的な人民公社の公有化と寺院の破壊、僧侶への肉体的な暴力などが一因とされている。反乱を鎮圧するのに内モンゴル自治区のモンゴル人解放軍騎馬部隊も動員されている(1967年以降に彼らも粛清されている)。虐殺後には奥地への強制移住も実施された。 研究代表者はまず夏休みを利用して青海省西部の海西モンゴル族自治州に入り、現地調査をおこなった。その後は更に青海省の海北チベット族自治州等に赴き、現地に滞在しながら各少数民族がそれぞれどのように対中蜂起に加わり、如何に鎮圧されたかの証言を集めた。また、当時の中国政府が発行していた公文書類、当事者たちの回想録などを収集した。冬には再度、青海省の省都である西寧市に入り、政府公認のチベット現代史関連の研究成果と資料類を収集し、当事者たちにインタビューをおこなった。また、青海民族学院の研究者らと情報交換を実施した。 以前から中国各地で集めた少数民族弾圧に関する資料を整理し、『モンゴル人ジェノサイドに関する基礎資料3-打倒ウラーンフー(烏蘭夫)』を刊行した。従来の研究成果を積極的に市民社会に向けて発信するために、学会等で口頭発表をし、市民向けに講演会を実施した。
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Research Products
(10 results)