2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520828
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
小川 順敬 駒澤大学, 総合教育研究部, 准教授 (00338302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下郡 剛 沖縄工業高等専門学校, 総合科学科, 准教授 (50413886)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 沖縄研究 / 久米島研究 / 家譜 / 位牌祭祀 |
Research Abstract |
本研究は、沖縄県久米島の地方役人階層で、18世紀中頃から100 年ごとに作成されてきた家譜、父母記、家系の備忘録、位牌記録、年回忌記録、骨瓶記録など、未公開の家系資料群の整理・検討・目録化を行い、久米島地方役人階層の系譜観、一族意識の変遷を明らかにする事を目的としている。 この研究は、久米島の地方役人階層の家譜などの家系資料など、未発表、未収集資料を基礎資料としている。そのため、本研究開始以前に代表者が収集した資料、22~23年度に蒐集した家系資料類(家譜、父母記、系図ほか)の整理、目録化を進めると共に家譜史料等については翻刻作業をすすめてきた。また大正~昭和期に、久米島の家譜類を一部整理した新資料なども存在し、その内容の確認にも努め、これまで収集した家譜、父母記類との比較作業も行ってきた。 24年度収集の新資料は、18世紀成立と思われる新発見の家譜資料が2点、19世紀の父母記資料が2点(写本を含め4点)が発見された(うち1部はコピーのみ原本未確認)。また既報告の家譜資料の原本2点を確認した(1点については写真撮りを行った)。また、大正~昭和期に作成された家系調査資料の存在が明らかとなったが、時間の関係でこちらは今後の検討課題としたい。 24年度は、蒐集済み家系資料と新収集資料の整理と目録化を前年度から継続化して行った。18世紀~19世紀の資料整理および確認は、原本の確認作業に一部遅れが生じているが、目録化作業とともに確認作業を継続中である。なお、前年度に引き続き24年度も位牌調査を久米島の旧家で行った。 18世紀から20世紀までの家譜、父母記、位牌史料等、一連の家系資料群が整った旧家の資料収集は、ほぼ目処が立ち、これらの資料を用いた系譜観の分析、検討を始めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は久米島の家系資料群の整理を目的の一つとしているが、久米島旧具志川村側には大きな親族系統が現状で5系統あり、そのうち美済氏と太史氏と言われる親族系統が大部を占めている。この2系統のうち、美済氏と言われる系統の資料群については新資料の発見や、これまでの資料の原本所在確認・整理作業は進み、一定の目処がたちつつある。しかしながら、もう一つの大きな親族系統である太史氏といわれる親族系統については、新資料の発見もなく、研究代表者が本研究開始以前にすでに収集したコピー資料の原本も確認ができない状態である。また現在の所有者が確認できていない現状にもある。その他、和州氏、巫馬氏、仁氏、その他についてはほぼ目処が立っているので、太史氏関係の資料群について確認を急ぐ必要がある。 ただし、こうした原本の確認に時間を要すると、これまで収集した他系統の資料の整理・検討もおろそかになるため、太史氏系等に関しては、コピー、写真等で収集した資料を基に検討作業を進めることとしたい。なお、本研究で収集した資料群は久米島博物館に寄託し、一部制限は設けざるを得ないものの資料の公開を目指すとともに、原本、所有者の確認作業を(本研究が終了した後も)継続的に進めることとしたい。 また、久米島旧仲里村側の家系資料群については、資料の存在そのものが確認できず、新発見の家譜資料が1点のみである。旧仲里村側の家系資料調査は継続して行う予定であるが、資料そのものが散逸した可能性が非常に高くなっている。 本研究は最終年度であり、このまま資料収集作業に多くの時間を割くことはできないため本度前半でこうした資料蒐集については一旦作業を止め、収集した資料の整理、検討に集中することとしたい。 研究の進捗状況にやや遅れがみえるのは、以上の通り資料の収集、整理について時間を要していることにある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度に当たる。当初この研究が目的とした、久米島家系資料の整理、目録化、原本もしくはコピーの久米島博物館への寄託を本年度中に完成させたい。一部未収集、原本未確認の資料も存在するが、これまで収集されてこなかった新資料の発見や、本研究開始以前に代表者が蒐集してきた資料の整理に見通しが得られた。ただし、こうした資料をどこまで、どの範囲で公開できるのか、寄託先となる久米島博物館と5月及び9月中に、個々の資料毎に協議する予定である。 また位牌調査に関連して位牌に記載される内容ばかりでなく、形や形式、製作等の問題を検討するために、データ収集と検討を平行して行っているが、こちらについては資料点数がまだ少なく、最終年度も時間が許す限り継続して調査、検討を行う予定である。 こうした家系資料群を用いつつ、久米島地方役人階層の系譜観、一族意識の変遷を明らかにする検討作業について、研究構成員の分担毎に整理されたデータをまとめて報告したいと考えている。 研究報告については、本年度5月に久米島で2回中間報告会、9月に研究報告会を行う予定。報告会の形態は、5月には久米島博物館で開催される行事にパネル発表として参加し、また旧具志川村側の一親族団体(美済氏会)に対して報告会を行う。5月の報告会は研究代表者と分担者および2名の研究協力者間での研究の進捗状況の確認でもあり、また9月の報告会、年度最終報告書の方向性についての確認でもある。9月の研究報告は久米島博物館と共催で開催の予定である。その際、久米島博物館にこれまでの収集資料の寄託を行いたいと考えている。 10月以降は、本研究の報告書作成に入る予定。12月から2月までに可能なら1回、本研究組織構成員全員で内容打ち合わせを行い、全体の構成につき最終確認作業を行いたいと考えている。
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Research Products
(2 results)