2010 Fiscal Year Annual Research Report
身体性構築における個人の主体性と多様性-衣服とタタウを中心に
Project/Area Number |
22520834
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
桑原 牧子 金城学院大学, 文学部, 准教授 (20454332)
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Keywords | 文化人類学 / 身体 / 衣服 / タタウ / フランス領ポリネシア |
Research Abstract |
本研究は、個人が身体を通して構築する社会との関係が植民地主義、近代化、グローバル化を経ていかに変化してきたかを、タヒチの衣服とタタウ(イレズミ)を事例として取り上げながらみていく。特に衣服が西欧化し、タタウが彫られなくなり、その後に復活する19世紀半ばから現在にかけての時代を中心に、様々な個人とその身体を規制する社会規範が相互に作用し合いながら身体性を構築していくプロセスを明らかにする。研究初年度である平成22年度の前半は主に文献と写真資料の収集を行った。とりわけ先行研究では十分に行ってこなかった探検家、貿易商、宣教師たちが描いた画像の収集を広く行った。国内からでも入手できる資料を集めるとともに、8月23日から9月1日までイギリスのThe British Libraryで、9月2日から9月7日までフランスのLa Bibliotheque nationale de FranceとService historique de la Defenseにて調査を実施した。研究代表者は先行研究において既に探検家や貿易商の航海記録、ロンドン伝道協会関連の資料、日誌、書簡、民族誌などを調査しているが、今回、The British Libraryでの調査では衣服に関する資料を追加収集した。また、La Bibliotheque nationale de Franceでは、La Societe de geographieが所有しているタヒチ関連の写真のマイクロフィルム・コレクションとService historique de la Defenseの図書館にてla Coquille号のRene Lessonのスケッチ原画を中心に調べた。平成22年度後半は前半に収集した文献・画像資料の分析を開始した。先行研究では社会規範を抽出すべき読み方をしていたが、本研究では個人の主体性と多様性に焦点を当てる。具体的には、個人の差異化のプロセスとカテゴリーを明らかにし、それぞれの個人による衣服やタタウの実践、選択、拒否をみるために文献の読み直しを始めた。衣服やタタウを直接的に示す資料やデータが少ないことから、人々の身体行為や身体概念一般に関わる資料を集め、そこから衣服やタタウの実践を浮かび上がらせるようにしている。
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