2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本型議院内閣制の実態と内閣統治の憲法統制に関する研究
Project/Area Number |
22530038
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
加藤 一彦 東京経済大学, 現代法学部, 教授 (30256292)
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Keywords | 憲法 / 両院協議会 / ドイツ連邦参議院 |
Research Abstract |
今年度の研究では、(1)第二院の比較憲法的研究、(2)日本の参議院の権能について研究を行った。 (1)の点では、比較対象をドイツ基本法(憲法)とし、同基本法における第二院である連邦参議院(Bundesrat)の憲法的地位について分析した。この成果は、後掲「ドイツ基本法における連邦参議院の地位と権能」(浦田/加藤ほか編『立憲平和主義と憲法理論』所収)及び学会報告「両院関係と合意形成の方途」に結実した。なお、現地調査の必要もあり、ドイツ国/ベルリンに在所する連邦参議院を見学した。 (2)の点については、いわゆる「逆転(ねじれ)国会」現象が日本で継続していることを踏まえ、両院における意思の不一致がある場合、いかにして国会の意思を形成すべきかについて研究した。オーソドックスのアプローチとして、日本国憲法上の憲法機関である「両院協議会」の憲法的権能から研究を始めた。この分析でも、ドイツにおける「法案審議協議会」との比較法的分析手法をとった。 日本の両院協議会のあり方は、必要的両院協議会と任意的両院協議会に大別できる。本研究では、後者の法律案に関する成案作成機能が著しく低いことを論証し、両院協議会の制度改革を提唱した。とくに、いわゆる「国会同意人事案件」に関し、現在の両院協議会が制度的に機能せず、また同意人事案件が政争の道具と化した点を批判的に分析し、両院協議会では、同意人事案件につき単純過半数議決主義を採用すべき点を提唱した。この研究成果として、後掲「両院協議会の憲法的地位論」を執筆した。
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Research Products
(3 results)