2014 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素排出量取引の市場における競争制限と排出量貿易に関する包括的研究
Project/Area Number |
22530055
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
沢田 克己 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40187290)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 国際排出量取引 / 温室効果ガス / WTO / GATT / GATS |
Outline of Annual Research Achievements |
京都議定書は、排出量取引を国境を越えて、すなわち国際的に行うことを予定している。しかし、2009年12月に行われたCOP15のコペンハーゲン合意によって、排出量取引は各国内やEUなど地域を中心とする市場となり、国際取引自体が縮小する可能性がある。 かかる状況を背景として、これまでのところ国際排出量取引は現実に行われるには至っていない。したがって、WTO締約国がWTOに提訴して紛争処理手続がとられた事案もまた、みられない。しかしながら、中長期的には国際排出量取引が開始し、また、それをめぐる国際紛争が発生する可能性が高い。 仮に国際排出量取引をめぐる紛争がWTO紛争解決機関に提訴された場合、それを解決する規範はGATTとGATSのいずれであるかについて、まだ確定していない。しかしいずれの規範が適用されるとしても、GATT20条、GATS14条といった一般的例外の発動によって違反措置が正当化される可能性が高いというべきである。GATT20条に関する事例は蓄積されている。しかしこの条項は不当な貿易制限の偽装として利用される可能性があるため、パネルはそれを環境保護措置に適用することに対しては極めて消極的であった。GATS14条は(b)において、「人、動物または植物の生命または健康のために必要な措置」を挙げる。GATT20条b号とよく似た条項である。米国の国境を越える賭博サービスの供給に影響を与える措置に関する上級委員会報告(2004-2005年) において、GATS14条による正当化の可否が審議され、認められた。従来、環境問題等についてGATT20条(b)を適用する場合、必要性基準の立証が困難でこれを環境措置の正当化要因とすることは困難であるとされていたが、この先例によって、この困難は著しく緩和されたといえよう。
|
Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|