2010 Fiscal Year Annual Research Report
大規模被害への損害賠償-アメリカ大規模不法行為と証券詐欺の事例を参考に-
Project/Area Number |
22530098
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Research Institution | Kyoto Bunkyo University |
Principal Investigator |
楪 博行 京都文教大学, 人間学部, 教授 (20331332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗山 修 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (00170093)
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Keywords | 民事法学 / 大規模不法行為 / 証券詐欺 / 損害賠償 |
Research Abstract |
本年度は、アメリカにおける大規模損害の状況を大規模不法行為と証券詐欺の事例から把握することを目的として、大規模不法行為と証券詐欺クラスアクションに関する資料の整理と基礎的問題の考察、それにかかる研究成果の公表を行った。本年度は次年度に実施する北米での調査、意見交換、および討論を充実させるための準備を整えた。基本資料を、クラスアクション、大規模不法行為訴訟の州および連邦判例、そして証券詐欺規制および連邦判例について分類化し、問題点の抽出整理と検討を行った。大規模不法行為に関しては、まず大規模不法行為およびニューサンスとトレスパスの関係から大規模救済の可能性を探った。次に精神的損害賠償のアメリカにおける法的位置付けを、損害賠償の範囲を決定するために検討した。証券詐欺に関しては、証券詐欺事例でのクラスアクション適用の是非の問題につき証券規制とクラスアクションの関係を、証券詐欺への司法的解決の是非の問題につきSECによる救済を検討した。大規模な公害事例においてニューサンス理論が根拠とされ、最近では不特定多数への迷惑メールの事例では不動産不法行為であるトレスパスが適用されている。損害賠償を前提として、これらの不法行為理論が大規模被害の解決の手段となっていることが理解された。また、損害賠償の範囲に関しては、アメリカにおける精神的損害賠償は身体的損害が前提とされ、一旦認容されると賠償額が多額となる傾向が理解された。証券詐欺に関しては、この解決となる損害賠償を請求するクラスアクションが、大規模不法行為事例とは異なり実務的に受け入れられている。その一方で、SECによる救済も司法的救済と並んで証券詐欺には効果があることが認められた。
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Research Products
(6 results)