2011 Fiscal Year Annual Research Report
「公―私」の政策変容におけるアカウンタビリティの理論構築―年金・医療改革を事例に
Project/Area Number |
22530133
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Research Institution | Sakushin Gakuin University |
Principal Investigator |
荒木 宏 作新学院大学, 経営学部, 教授 (50337424)
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Keywords | 政治学 / 政策研究 / アカウンタビリティ / 福祉政策 |
Research Abstract |
本研究は、民営化や政府組織の市場化などの政策変容におけるアカウンタビリティの範囲や実効性について、イギリスの年金改革、医療改革を事例に、その理論的枠組みを構築することを目的とする。平成23年度では主として次の3つの計画を実施した。第1の計画は、年金および医療の制度改革に関する主要な公文書や政府監視機関、議会オンブズマン等の報告書を収集し分析することである。収集した資料の分析から年金政策および医療政策に関わった主要なアクターや組織を特定した。研究の対象期間として、馳年金制度改革については、2002年から始まった制度改革(2002年~2006年)を中心に、医療制度改革については、労働党政権期の医療制度改革を中心に、それぞれ1980年代以降の保守党政権期の制度改革における政策理念と比較しながら検討した。第2の研究課題は、年金と医療の資料分析から、制度改革に携わったアクターや組織を選定しアンケート調査あるいはインタビューを実施することである。事前に対象者にアンケート調査を実施し、その後インタビューを行う予定であったが、返答が少なかったため、十分な定量調査を行うことができなかった。また質的研究としてのデータも得ることができなかった。そのため平成24年度では、この質的調査のデータ収集を最優先課題とし現地調査を行う予定である。第3の研究課題は、政治アカウンタビリティの最近の研究動向をまとめ、論文を作成することである。アカウンタビリティの先行研究を整理し、現在調査中の年金政策を事例とした「公-私」政策変容におけるアカウンタビリティの理論的枠組みに関する論文を現在作成している段階である。そしてこの論文とこれまでの研究成果をまとめ、2012年10月に国内の学会で発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、英国の医療・年金政策に関わったアクターや組織に対し、アンケート調査やインタビューを実施し、政策変容のアカウンタビリティについて検証することを主要な目的としている。しがしながら、現地における質的調査のためのデータの収集が当初の計画より遅れている。その理由として、各団体に調査の協力を依頼したが、現在のところ返答が少なく十分なデータを得ることができていないこと、また現地での調査期間が1週間ほどしかとれないという時間的制約により研究の遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
事例研究の対象国である英国での実地調査ならびに質的調査のデータ収集を平成24年度における研究の最優先課題として位置づける。そのためには、再度調査協力の依頼を行い、また現地での質的調査(インタビューなど)を実施し、データの収集に努めたい。ただし現地調査には時間的な制約があるため、現地での協力者にインタビュー調査を依頼することも考えている。さらに、これまでの研究成果の一部について、平成24年度に、国内の学会で発表する。
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