2011 Fiscal Year Annual Research Report
インターネットを通じた候補者・有権者間の情報―投票サイクルの研究
Project/Area Number |
22530145
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
岡本 哲和 関西大学, 政策創造学部, 教授 (00268327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 章市朗 関西大学, 法学部, 准教授 (40368189)
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Keywords | 選挙 / インターネット / 日本政治 / ソーシャル・メディア / 政治コミュニケーション / メディア政治 / 政治情報 / 情報社会 |
Research Abstract |
この研究の目的は、議員・候補者による情報発信行動と有権者による投票行動との相互作用に焦点を合わせて、その様態を明らかにすることにある。今年度の実績は以下のとおりである (1)前年度に実施した2010年参院選におけるインターネットをつうじた有権者の選挙情報獲得行動に関する調査結果の分析を行って成果をまとめた(2012年度発表予定)。政治知識が低い有権者及び高い有権者は、投票先の決定においてインターネット上の選挙情報から影響を受けにくく、意識の高さが中程度の最も影響を受けやすいことが、日本のデータを用いた分析で初めて明らかになった。 (2)急速に普及しているソーシャル・メディアと選挙との関連についての研究を進めるため、2011年4月に実施された大阪府議会議員選挙候補者によるツイッター利用について予備的調査を行った。ツイッター利用の有無に関しては、ウェブサイト利用において日本で見いだされてきた「通常化」の進行は見られない。この結果は今年度中に国際会議で発表予定である。 (3)2011年11月に実施された大阪市長選挙時に、インターネットをつうじた有権者の選挙情報獲得行動と投票意思決定との関係についてのアンケート調査を実施した。結果として、インターネットをとおして市長選に関する情報に接触した大阪市の有権者から、309サンプルが得られた。データのクリーニングが完了し、分析に取りかかる準備が整えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で示したように、インターネット上の選挙情報と接触することによって、投票意思決定にあたって有権者がどのような影響を受けるかという問題については、新たな知見が得られた。さらに、大阪市長選における大阪市有権者の情報接触と投票意思決定についての調査データを得ることができ、上記の問題について異なった選挙データを用いて、さらなる分析を加えることが可能となった。候補者の情報発信行動については、大阪府議会議員選候補者によるツイッター利用の有無および大阪市長選候補者によるツイート数の時系列変化についての調査データを得ることができた。これらの点から、研究目的はよく達成されているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究年度の最終年度にあたる2012年には衆議院の解散・総選挙が実施される可能性が高くなっている。その場合には2010年参院選及び2011年大阪市長選時のデータとの比較が可能となるような調査を行い、インターネット上の情報と投票意思決定との相互作用に関する分析をさらに進めていく。また、上述のようにソーシャルメディアが急速に普及しており、それを利用する議員も増えてきている。今後は議員・候補者によるツイッターおよびFacebookの利用についても分析の対象として研究を進める。
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Research Products
(5 results)