2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530149
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 貢 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (70251311)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 「崩壊国家」 / ディアスポラ / 国家建設 / 海外送金 / 国際安全保障 |
Research Abstract |
本年度は、他の研究予算を用いて当初から予定していたケニアの首都ナイロビにおいて調査を実施することが可能となったので、本予算での出張費を支出せず、研究を実施する形となった。ナイロビでの調査においては、特に近年不安定化が進んでいる北部ソマリアの情勢と、ソマリアの国家建設の関連をディアスポラの関与との関連で情報収集や聞き取り調査を実施した。そのねらいは、北部ソマリアにおける「並行的」和解実践の結果として生まれてきた「境界」をめぐる問題をより深く考察するための情報や現状に関する知見を得ることを主たる目的として、ソマリランドとプントランドの関係の現状、さらに現在進行形で進んでいる暫定連邦政府後のソマリア情勢への両者の関与といった複数の文脈の下で、ソマリアの国家再建の方向性を検討しようとするものであった。 ここで明らかになったことは、「境界」地域のハーティと呼ばれるクランのグループの中でも、特にドゥルバハンテ、ワーセンゲリがそれぞれの地域で周辺に位置しつつ、それぞれの行政に関わるという「重複帰属」状況が生じるとともに、この「境界」地域の帰属がきわめて曖昧な状況になっていくなかで、クラン内部の様々なダイナミズムが生み出される結果になってきたということである。そして、特にラスアノッドの居住者のほとんどを占めるドゥルバハンテが政治的に内部分裂するとともに、ソマリランドのイサックとの対立関係が部分的に深まる形で「境界」問題という事態が深刻化している状況である。さらにこの文脈に本研究で定義するディアスポラによる一定の関与が見られ、きわめて複雑な関係性の下に、ソマリアにおける国家の動きをとらえる必要があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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