2011 Fiscal Year Annual Research Report
少子高齢化・高失業率の先進国による戦略としてのエコ産業育成政策-貿易モデル分析-
Project/Area Number |
22530244
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
近藤 健児 中京大学, 経済学部, 教授 (70267897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藪内 繁己 愛知大学, 経済学研究科, 教授 (40264741)
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Keywords | 非正規雇用 / 非自発的失業 / 環境政策 / 外国人労働者 / 賃金補助金 |
Research Abstract |
近藤は労働生産性に差がなくとも賃金、安定的雇用、労使交渉力などの面で差別的待遇を受ける非正規雇用労働の増加という現実を理論モデルに取り込み、労働格差や経済厚生にグローバル化がどのように影響を及ぼすかに関する研究を行った。貿易自由化の推進よりも、未熟練外国人労働者の受け入れ政策の方が、経済厚生を向上させる可能性が高いことが明らかにされた。この研究はティラナ(アルバニア)で開催された国際学会2nd International Conference on Human and Social Sciences, ICHSS 2012で報告され、Mediterranean Journal of Social Sciencesに掲載が決定した。 また、藪内は失業に悩む政府がその一部を海外へ移民を増加させる政策を採ったり、あるいは海外の賃金が上昇するなどの外生的な要件の変化により移民が増加するなどの結果、国内の失業がどのように変化するかを分析した。直感的にはこのような政策や変化は国内の失業圧力を緩和し失業が減少しそうに思われるが、分析により逆に失業が増加するという結果が得られた。したがって政策的にはむしろ移民の規制や、他の政策、たとえば国内産業への賃金補助金や生産補助金または外国資本の誘致などが検討されるべきという示唆を得た。なおこの結果はEconomics Bulletinに掲載された。 これらは非正規雇用や非自発的失業といった先進国特有の労働市場を背景に、経済のグローバル化の影響について研究したものである。今後さらに研究を発展させ、戦略としての環境政策の経済的な影響を分析していく上での基礎的な研究となるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度は近藤・藪内ともに本研究に密接につながる研究成果を海外の査読付き学術雑誌に投稿し、掲載ないし掲載決定となるなど、順調な成果を上げた。環境政策にかかわる部分での研究がまだ残されているが、今年度中には、一定の成果があげられる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
近藤は非正規雇用の増大、藪内は非自発的失業と、いずれも労働市場が抱える現代的な問題に焦点を当て、グローバル化の経済的影響や、戦略的な環境政策の最適化問題を理論分析する。24年度は研究最終年であるため、メールでのやり取りに加えて、月に一度のディスカッションを通じて、研究成果をまとめ上げる予定である。研究の開始以来多くの建設的なコメントを与えてくれた海外の研究協力者からもさらに助言を仰ぎ、国内および海外の学会での報告を行う。さらにそこでの議論を踏まえたうえで改訂を重ね、最終的にふさわしい査読付き学術雑誌に投稿する。
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Research Products
(3 results)