2011 Fiscal Year Annual Research Report
産業集積の持続的発展と組織ルーティン進化の国際比較研究-日本・イタリア・中国
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22530254
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Research Institution | Tokyo Metropolitan College of Industrial Technology |
Principal Investigator |
遠山 恭司 東京都立産業技術高等専門学校, ものづくり工学科, 准教授 (20270233)
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Keywords | 産業集積 / 組織ルーティンの進化 / 眼鏡産業 / 福井県鯖江 / イタリア / 中国・香港 / 国際比較 / 持続的発展 |
Research Abstract |
本研究は、産業集積のライフサイクルの観点から、その発展・衰退段階に応じた企業組織ルーティンの性質と機能の進化、当該産業と産業集積の持続的発展可能性の要因分析を目的とする。産業・産業集積内部における個別企業の組織ルーティンの拡張・深耕を、進化経済学の観点から理論・実証の両面から考察する。 平成23年度は、国内のケース地域である、福井県鯖江市周辺の眼鏡製造企業や企画会社、製造卸、部品メーカーなど20社近くに対してインタビューを実施した。福井県や鯖江市による産業支援政策の後押しも受けながら、組合ベースで価値創造の範囲を拡張し、組織ルーティンの進化の形態が形となって現れてきていることが明らかとなった。また、大手眼鏡資本(地域外)によるグローバル・バリューチェーンの一角に鯖江産地のメーカーが位置づけられ、広告・宣伝戦略と生産・流通・販売における一体型の価値創造形態を発見することができた。これは、従来型の産地調査ベースの議論からは発見し得ない、きわめて興味深い事実発見であった。それは、国内調査の後に行った中国・香港調査においても裏付けられることとなった。中国本土へ進出した香港資本OEMメーカーが、先述の日本の大手眼鏡資本のアウトソーシング拠点として機能し、生産品目や技術水準において差別化が図られていた。 こうしたグローバル・バリューチェーン視角と組織ルーティンの進化は大いに深い関係にありそうなことが判明し、今後のイタリア調査と国内調査の課題がクリアなものとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
従来の地域調査・産地調査とは異なるアプローチによるフィールドサーベイを行った結果、地域産業の内部構造や存立基盤ばかりでなく、国内あるいはグローバルな価値創造連鎖(グローバル・バリューチェーン)による産業集積研究アプローチが開拓できたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
日本企業を中心としたグローバル・バリューチェーンの新たな胎動を生産と流通において見いだしつつある現状から、世界市場を視野に入れたイタリア企業に対するインタビュー調査が本年度の最大の課題となる。過去に訪問した企業へのインタビューを中心に据えつつ、リーマンショックで倒産した企業の元経営者などにもアプローチする予定である。それが不可能な場合は、現地の眼鏡工業組合などでの調査でフォローを行う。
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Research Products
(2 results)