2011 Fiscal Year Annual Research Report
技術特化・集中度パターンの動態的変化とイノベーション・システムに関する比較研究
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22530295
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Research Institution | Okinawa International University |
Principal Investigator |
宮城 和宏 沖縄国際大学, 経済学部, 教授 (50268786)
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Keywords | 技術特化 / 技術バラエティ / 技術集約度 / OECD / 東アジア |
Research Abstract |
既存研究において技術特化と経済規模、技術規模の関係について以下の結論が得られている。(1)経済大国(あるいは先進国)の技術活動は広範囲の領域にまたがっているが、小国(あるいは途上国)のそれは狭い領域に集中している。(2)経済大国の特化パターンはかなりの程度持続的である。以上の結果は、経済規模の拡大は当該国の技術領域を拡大させながら(技術の多様化)、当該国の技術特化パターンが持続することを意味する。つまり、規模の拡大は(1)技術活動の領域を拡大させる一方で、(2)技術活動の集約度をも高めるという2つの効果を有することになる。それにもかかわらず、規模と技術特化の関係を分析する際、既存研究ではこれらの効果が十分、考慮されてこなかった。本年度の研究では、OECD加盟国や東アジア諸国等合わせて45か国・地域の特許データを用いて、経済規模が技術活動に及ぼす影響を「技術バラエティ」と「技術集約度」の2つの効果に分解、定量化することにより規模と技術特化との関係を明らかにした。その結果、以下の結果を得た。まず第1に、クロス・セクション分析の結果、経済規模、人口規模、一人当たりGDPの増加は、特許の増加をもたらすことが確認された。第2に、特許数の増加のうち技術バラエティ(EM)による貢献は、GDPを説明変数として用いた場合に56%、人口を用いた場合に57%、一人当たりGDPでは58%であった。つまり、追加的特許登録数の6割近くが技術バラエティの増加によるものである。第3に、規模の増加、一人当たりGDPの上昇による特許数の増加の6割近くは技術バラエティで説明され、残り4割強が技術集約度の上昇によるものであることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度における特許データのデータ・ベース構築や初歩的な分析を経て平成23年度は本格的な分析を開始することができた。OECD各国や東アジア諸国について、イノベーション・システムの分析を除き、技術特化についての当初の研究目的をおおむね達成できたものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、平成23年度の分析結果を踏まえて技術特化・集中度パターンの動態的変化について統計学的な研究を行う。イノベーション・システムの定性的な分析についても進展を図る。
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Research Products
(2 results)