2010 Fiscal Year Annual Research Report
サービス分野の事業創出法 -製造業におけるイノベーションの応用展開
Project/Area Number |
22530405
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前川 佳一 京都大学, 経営管理研究部, 准教授 (30511290)
|
Keywords | イノベーション / 中央研究所 / リニアモデル追求型 / 連鎖モデル型 / オープンイノベーション / CTO(Chief Technology Officer) / リーダーシップ / 技術情報 |
Research Abstract |
本研究はサービス分野でのイノベーション創出に貢献することを目的としている。初年度すなわち平成22年度は、現代製造業でのイノベーション最新事例を調査した。今後、2年目(平成23年度)はサービス化する製造業の、3年目(平成24年度)はサービス業そのものの事例を調査する予定である。こうしてサービス分野の研究開発の事例を収集し、分析し、製造業の研究開発と対比することによってサービス研究開発の現在地を確認し、サービス分野における試作の位置づけなどの方向性を展望し、サービス分野でのイノベーション創出に寄与することを目指している。 今年度の実績の一つは、三洋電機の研究開発体制の変遷の概観である。米国では中央研究所の終焉が言われているが、日本では以下のような点でまだ期待が持たれていると言ってよいだろう。 1. 中央研究所発のリニアモデル追求型(素材型や化学)の基礎研究 例:二次電池など 2. 事業部とともに歩む連鎖モデル型(アセンブリ機器型)の応用研究 例:デジカメなど 3. オープンイノベーションの実質的な担い手としての役割(社外からの技術導入、その時の技術評価と知識統合、社内技術の価値評価) またCTO (Chief Technology Officer)の定義・役割について、CTOが強い権限とリーダーシップを持っていた頃には中央研究所が成果を出せていた時代でもあるということや、長期的視野に立つ基礎研究に軸足を置けと命ずるのか事業への直接的貢献を指示するのかといった舵取りの問題を浮き彫りにした。 別の研究実績では、複数の製造会社の事例を収集し、組織内で技術情報の伝達が企図されたときに、どのような時に正確に伝わり、どのような時に伝達が失敗するのかを事例分析している。 以上のような今年度の成果は、製造業に特有のもののようでいて、掘り下げるとサービス業の研究開発でも直面したり応用可能であったりする知見であり、次年度以降の研究との連携に大いに期待できるものであると考えている。
|
Research Products
(5 results)