2011 Fiscal Year Annual Research Report
日米大学生の飲酒、喫煙の動機付けと抑止要因:分化的強化と拡大抑止理論の検証
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22530537
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小林 恵美子 金沢大学, 外国語教育研究センター, 准教授 (60319241)
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Keywords | 拡大抑止理論 / 分化的強化 / 飲酒 / 喫煙 / 日米大学生 |
Research Abstract |
平成23年度の成果は以下の通りである。4月は、アンケート質問項目の最終確認を行った。5月は、日本の大学に通う1年生約1,800名を対象にオンラインアンケート調査を実施した(有効回答数約770)。6月から8月にかけては、回答をすべて数字化し、統計解析ソフトSPSSを用いてデータを入力した。9月から翌年3月にかけては、未成年の日本人学生約650名の回答をもとに、以下4つの仮説を検証した:1.飲酒、喫煙をすることに対する制裁(「自責の念」や「仲間からの尊敬の念喪失」など)の程度が高いほど、飲酒、喫煙を自重する。2.飲酒、喫煙をしないことに対する報酬(「自尊心」や「仲間からの称賛」など)の程度が高いほど、飲酒、喫煙を自重する。3.飲酒、喫煙をすることに対する報酬(「自尊心」や「仲間からの称賛」など)の程度が高いほど、飲酒、喫煙をする。4.飲酒、喫煙をしないことに対する制裁(「自責の念」や「仲間からの尊敬の念喪失」など)の程度が高いほど、飲酒、喫煙をする。重回帰分析の結果、飲酒、喫煙に対する「自責の念」と「仲間からの尊敬の念喪失」が「飲酒」と「喫煙」に対して有意な負の効果を持つことが示された。この結果は、飲酒、喫煙をすることに対する制裁が有効な抑止要因として機能していることを意味しており、上記理論の基本定理に基づいて設定した仮説1と整合する。一方、飲酒、喫煙をすることに対する「自尊心」と「仲間からの称賛」、そして、飲酒、喫煙をしないことに対する「自尊心」、「仲間からの称賛」、「自責の念」、「仲間からの尊敬の念喪失」は、「飲酒」と「喫煙」に対して有意な効果を持たないことが示された。この結果は、仮説2、3、4を反証するものであり、未成年が飲酒、喫煙をするかどうかの意思決定に際して、これら違法行為に対する報酬、そして、法令順守行為に対する制裁や報酬は有効な動機づけ、抑止要因として作用していないことを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
米国の大学生を対象としたアンケート調査の実施が遅延しているため、日米の比較検証ができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
日本人大学生から回収されたデータをもとに分析を進めていく。さらには、米国の大学生を対象としたアンケート調査を実施し、日米の比較検証を行う予定である。
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Research Products
(4 results)