2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530547
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
渡辺 伸一 奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (70270139)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 公害 / 環境問題 / 埋め立て / 新産都市 |
Research Abstract |
富山:カドミウムにおける健康被害は重篤例が骨軟化症であり、そのミニマムが近位尿細管障害(以下、カドミウム腎症)である。故に、被害者団体は、「カドミウム腎症の救済なくして、イ病の救済なし」との立場から、カドミウム腎症を公害病と認めるよう国(環境省)に訴え続けてきた。国は、こうした声に押され、神通川流域において長年に亘って住民健康影響調査を実施してきた。しかるに、国は、調査結果をまとめた1989年や2002年の報告書では、カドミウムと腎障害との因果関係を明確には認めず、またカドミウム腎症を「病気」だとも認めてこなかった(よって、公害病指定する必要はないという立場であった)。こうした事態に変化が見られるのが、2009年の報告書である。そこでは、「地域住民で近位尿細管機能異常が認められる者のうち相当数がいわゆる慢性腎臓病の定義に合致し、腎機能の水準も一般人口に比べて低いと考えられる」と書かれ、カドミウム腎症のうち相当数が、慢性腎臓病という「病気」だとの見解を示した。被害者団体にとってこのことは、国あるいは加害企業にカドミウム腎症(特に重篤例)を公害病と認めさせる、1つの有力な根拠となり得ると判断される。 大分:大分県は、1970年に新産業都市第2期計画を策定、そこでは、佐賀関海域を工場用地として埋め立てる計画がうたわれていた。これに対し、漁業者を含む佐賀関の住民らは反対運動を展開したが、結果として運動は実らず、埋め立てが実現されるかに思われたが、県はなぜか埋め立てを実施しなかった。この理由を、従来の研究では国の中央港湾委員会が埋め立てを認めなかったからだとし、これでこの問題は解決したとされてきた。本研究では、現地調査に基づき、こうした解釈は間違いであること、また県が埋め立て中止を正式決定しなかったことが、佐賀関地区の地域づくりに対し大きな足かせとなってきたという事実を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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