2011 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄における引揚体験の記憶と意味の構築-台湾、満州、南洋群島、フィリピンを中心に
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22530553
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
野入 直美 琉球大学, 法文学部, 准教授 (90264465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蘭 信三 上智大学, 外国語学部, 教授 (30159503)
飯島 真里子 上智大学, 外国語学部, 准教授 (10453614)
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Keywords | 沖縄 / 引揚げ / 記憶 |
Research Abstract |
日本帝国崩壊後のフィリピン、旧南洋群島、台湾、満州からの沖縄引揚め実態と<記憶>の構築過程についての研究を行った。 フィリピンに関しては、沖縄においてインタビュー調査を行い、ダバオ会および墓参団の組織化の経緯に関する調査を行った。これまで、フィリピン引陽者の語りは戦争体験の記憶を中心に収集されてきたが、今回の調査では戦後沖縄社会にわける引揚者の生活経験が明らかになった。 旧南洋群島に関しても、沖縄においてインタビュー調査を行い、旧南洋群島から沖縄へ引き上げた人びとの移民県・戦争体験および戦後体験を明らかにした。沖縄における調査で得られた事例は149名分となった。さらに、沖縄県史および市町村史に掲載された引揚者の証言を収集・検討した。 台湾に関しては、引揚者も参加した、沖縄系の移民にゆかりの地を訪ねる台湾ツアーに参加した。また、台湾において日本統治時代の記憶がどのように構築されているのかを検討するために、台北市基隆市において、日本統治時代の遺構を保存する活動に参加している住民と、沖縄系の移民の功績をたたえる慰霊碑の件増に関わっている住民へめ聞き取り調査を実施した。文献サーベイとしては、『那覇女性史』(「近代編」「現代編」)および『近代沖縄女性史』、市町村史に記された台湾経験の収集・整理を行った、これらの文献資料の分析においては、就業移動者と疎開者の体験と意味づけの相違があることが見いだせた。戦後沖縄における女性の「外地」/引揚経験についての証言が、相対的に乏しいことも明らかになった。満州に関しては、沖縄において引揚者のインタビュー調査を行い、県立図書館で関連する資料の収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
旧南洋群島のインタビュー調査は終了し、フィリピン、台湾、満州に関してもほぼ終了し、補足調査を残すのみとなっている。県・市町村史の引揚者証言の収集と整理も終了し、分析を待つのみとなった。引揚者在外事実調査票のデータベース化も終了し、試行的な分析にも着手できている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は最終年度となるため、研究者どうしのコミュニケーションを緊密にとりながら、各地域間の引揚体験と<記憶>の構築過程についての比較分析を行う。 研究代表者は成果を執筆し、刊行する作業をとりまとぬフィリピン、旧南洋群島、台湾、満州の担当者が確実に成果をまとめ、ることができるようにとりはからう。
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Research Products
(15 results)