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2011 Fiscal Year Annual Research Report

日本人のグラスルーツ・トランスナショナリズムの展開と「場所」

Research Project

Project/Area Number 22530569
Research InstitutionSenshu University

Principal Investigator

廣田 康生  専修大学, 人間科学部, 教授 (60208890)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 藤原 法子  専修大学, 人間科学部, 准教授 (60573300)
Keywordsトランスナショナリズム / 都市的世界 / 遷移空間 / 移民 / 移民宿 / エスニシティ / 場所の獲得 / 場所の政治
Research Abstract

本研究の目的は、日本人のグラスルーツな越境実践と、越境実践が展開する「場所」に焦点を当てることでトランスナショナリズムの展開が社会に提起する現在的課題を探ることにある。そのため出発点の研究構成として、I.グラスルーツ・トランスナショナリズムの再考、II.初期トランスナショナリズムに見る日本人の越境実践の再検討、III.トランスナショナルな場所における「場所の政治」と共生の意味、IV.都市的世界におけるトランスナショナリズムが提起する現在的課題を考察する計画を立てた。
平成23年度は、特に研究構成のIIにあたる部分として、平成22年度に実施した日本人の初期移民排出地域の周防大島・沖家室島での調査をもとに、彼らの越境実践の場所である布哇ホノルルの遷移地帯であったアアラ街とカカアコ地区での関係者のインタビューと資料収集をすることができ、またIIIの部分においては、すでに実施していたトランスナショナル実践の場所群馬県大泉町での聞取り調査結果と、当初は予定していなかったが、アジア系の人々の越境実践が展開する東京池袋での「共生」の位相変化に関する調査を重ねることで、越境実践が展開される場所とそこに顕在化する「場所の獲得」の実践過程を、日本人のグラスルーツ・トランスナショナリズムの新局面として認識し、合わせてIIとIIIの作業を重ねることでそうした実践が都市の遷移空間性を帯びた場所において展開するという仮説も得られた。これらの研究作業の結果として、グラスルーツなレベルでの「場所の政治」や、いわば下からの実践による都市空間の形成の現状と可能性を実感することができ、「トランスナショナリズムと場所」の研究を都市社会学で蓄積されてきた都市コミュニティ論やエスニシティ研究における「下からの」都市形成、都市コミュニティ形成の問題に結びつける素地が得られた(この問題については中間的な報告という形で本大学の研究紀要に試論を報告した)。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

当初は計画になかった東京池袋での調査から「共生」の位相変化と「場所の獲得」の問題に気付き、布哇での初期移民に見る日本人の「場所の獲得」の問題に結びつけることができたこと。さらにこうした過程が、都市のいわゆる「遷移空間」性を帯びた場所で展開していることに気づくことで、「下からの」都市空間の形成という問題を都市社会学の研究蓄積に結びつけ一層発展させる可能性演実感できたこと。それを本研究全体のテーマの核心に据える方向性がみえてきたことが、その理由である。

Strategy for Future Research Activity

最終年度にあたる平成24年度は、上記の結果を基礎に、さらに東京新宿の遷移空間性を帯びた大久保、百人町の「多国籍地帯」での「場所の獲得」に関するフィールドワークと、布哇移民と対極にあるとされるアメリカ東海岸のニューヨーク、ボストンでの日本人の越境実践とアイデンティティの承認と交渉過程について、歴史的資料の収集とインタビューを加えることにより、遷移空間性を帯びた場所(=チャンスが埋め込まれている都市的世界)における「場所の獲得」を、グラスルーツ・トランスナショナリズムを象徴する過程として、一層の位置づけを図る計画である。なお、ニューヨーク、ボストンでの資料収集作業については当初の計画にも入れてはいたが、当初計画にはなかった池袋や新宿での補足調査と相互参照させることで、日本人のグラスルーツ・トランスナショナリズムの過程で発生する「場所の政治」や「下からの」都市空間の形成の問題を、都市社会学の研究蓄積に一層深くつなげ、この研究を、本研究全体の結論として呈示していくつもりである。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012

All Journal Article (3 results)

  • [Journal Article] 日本人のグラスルーツ・トランスナショナリズムと「場所」への都市社会学的接近2012

    • Author(s)
      廣田康生
    • Journal Title

      専修人間科学論集社会学篇

      Volume: 第2巻第2号 Pages: 141-154

  • [Journal Article] 回路的世界を繋ぐ装置としての「移民宿」-横浜/ホノルルを繋ぐ装置としての「移民宿」-2012

    • Author(s)
      藤原法子
    • Journal Title

      専修人間科学論集社会学篇

      Volume: 第2巻第2号 Pages: 155-167

  • [Journal Article] 越境の都市的世と場所への繋がり、場所の獲得-沖家室とホノルル・アアラ街及びカカアコの越境者たち-2012

    • Author(s)
      廣田康生
    • Journal Title

      専修大学人文科学研究所月報

      Volume: 第255号 Pages: 1-27

URL: 

Published: 2013-06-26  

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