2011 Fiscal Year Annual Research Report
うつ経験者の回復期支援法-自分史分析(4テーマ分析法)を用いた支援の効果
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22530616
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
杉原 俊二 高知県立大学, 社会福祉学部, 教授 (50259644)
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Keywords | うつ / 自分史分析 / 生活史分析(半生分析) / 4テーマ分析法 / ナラティブプラクティス |
Research Abstract |
本調査:「うつ病経験者」の回復期における生活史分析の実際 前年度の予備調査と本調査(2名)に引き続き、4テーマ分析法(4T法)による本調査を実施した。対象者は回復期にある「うつ病経験者」8名(男性6名、女性2名)。年齢は、調査開始時に40歳以上(「中年期の危機」との関連を調べるため)。担当医やスタッフから説明を受けた上で承諾してくれた人を対象とした。なお、これまでの検討から、4T法は、以下のような手順で実施した。 1.初回面接(面接の手順と調査協力の承諾)。ここでは、自尊感情に関する尺度、うつに関する尺度を用いて、実施前の状態を測定した。 2.第2回面接(テーマ設定)。まず、対象者の生活史の年表を調査者と一緒に作成して、どのテーマを選んで話をするかと決めた。健常者のテーマ設定には幅があるが、うつ経験者の場合は、「病前性格」「発症時」「発症後」「その後」に絞りやすいことがわかった。 3.第3回~第6回面接(4T法の実施)。面接ごとに、テーマに沿って自分史を語り、それを調査者が記録した。4つのテーマがあるので、4回繰り返される。それぞれの面接終了後、面接内容を調査者がまとめ、次回の面接前に対象者へあらかじめ送っておく。この時、中断したケースが4例あり、うち2例は3か月以上に間隔をあけて再開したが、2例は中断したままである(医師への受診は継続中)。 4.第7回面接(振り返り)。対象者が語った内容を調査者が文章化して、2人で読み合わせ、内容の検討をおこなった。ここで、4つのテーマを最終的に確認して決定した。 5.第8回面接(終了面接)。これまでの面接と4T法での内容を振り返った。ここでは、対象者から不足分があれば補ってもらった。4T法実施の評価を、初回面接で用いた尺度で測定をした。また、研究の公表方法など(特に事例を提示する場合は念入りに)を説明して、研究への協力について3度目の承諾を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4T法の実施については、予定どおり開始できた。ただ、健常者の事例と違って4例の中断事例があり、2例が再開できていない。これは、いずれも第4回面接(第2テーマ)までは語れるが、その後、中断していた。中断・再開の2事例を検討したところ、第2テーマの「発症時」の語りの後、「しんどくなってしまう」ということであった。中断事例を計画には想定していなかったが、この年度に中断・再開事例の検討ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ、第2回面接(テーマ設定)で年表作成をおこなっている。対象者が選定するテーマについて、健常者と比べて固定化(「病前性格」「発症時」「発症後」「その後」)していることから、ティグニティブセラピーの方法を応用して、第2回面接で年表の作成の代わりに、4つの質問をおこない、それを経た上で第3回面接に進むかどうかを決める。そうすれば中断を避けることができる。なお、ティグニティブセラピーは、テキストによれば1時間程度で実施可能であり、2時間の面接に組む込むことが可能である。
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Research Products
(4 results)