2011 Fiscal Year Annual Research Report
重大触法事件に関する実証的研究-児童福祉優先の理念の再構築に向けて-
Project/Area Number |
22530626
|
Research Institution | Japan College of Social Work |
Principal Investigator |
若穂井 透 日本社会事業大学, その他の研究科, 客員教授 (30277660)
|
Keywords | 重大触法事件 / 2007年少年法改正 / 家庭裁判所への原則送致 / 児童福祉優先の理念 / 児童福祉機関先議の原則 / 厳罰化 |
Research Abstract |
全国児童相談所長会から研究代表者が委託を受け実施した「平成21年度定例調査」で明らかになった重大触法事件、即ち平成19(2007)年少年法改正後の1年間(平成19年11月1日から平成20年10月31日まで)に、全国各地で発生した重大触法事件に関与した15児童相談所が家庭裁判所に原則送致した17事例と家庭裁判所に送致しなかった10事例に関して、平成22年度に実施した訪問調査(ヒアリング、記録閲覧)をふまえて、平成23年度はヒアリングした際の録音テープ全部を反訳し、質問項目に即してその内容を分析するとともに、併せて厚生労働省が示した平成19(2007)年の少年法改正前と改正後の児童相談所の家庭裁判所に対する送致の判断基準を文献研究し、同時に平成19(2007)年の少年法改正後1年間以降の動向を把握する参考として、平成19(2007)年の少年法改正後1年間に警察からの児童相談所への重大触法事件の送致事例が最大だったA県の児童相談所に対して、平成20年11月1目から平成22年10月31日までに扱った全事例について、全国児童相談所長会の「平成21年度定例調査」と全く同じ質問項目で実施したアンケート調査の結果を検討した。 その結果、平成19(2007)年少年法改正後の重大触法事件に関する家庭裁判所への原則送致・非送致をめぐる児童相談所の判断基準、送致(非送致)理由等がはじめて解明され、平成19(2007)年の少年法改正後も児童福祉優先の理念は全体として堅持され、厳罰化に傾斜していないことが示唆された。その意義と重要性はきわめて大きい。なお本研究の一部をまとめた研究協力者高橋幸成(指導教授:研究代表者)の修士論文「重大触法事件の実証的研究-児童相談所の原則家裁送致をめぐる判断基準」(日本社会事業大学大学院)は高い評価を得ている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的及び研究の計画に即して、順調に研究が進展している。 第2期(平成23年度)の目標であった研究協力者高橋幸成(指導教授:研究代表者)による修士論文の完成はその象徴である。
|
Strategy for Future Research Activity |
日本司法福祉学会等において、研究協力者が修士論文(指導教授:研究代表者)の内容を発表し、質疑応答のなかで考察を深めるとともに、有識者によるシンポジュームを開催して研究代表者が基調報告し、さらに質疑応答を重ねるなかで、最終報告書をまとめる。
|