2010 Fiscal Year Annual Research Report
身体障害者の社会参加を促進する法の実効性を阻害する心理・社会的メカニズムの検討
Project/Area Number |
22530652
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
松中 久美子 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 講師 (90368457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲田 菜穂子 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (90368415)
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Keywords | 社会福祉関係 / 身体障害者補助犬 / 法周知 / 職場受け入れ / 住居受け入れ |
Research Abstract |
身体障害者補助犬法は2007年に一部改正され、職場での受け入れも義務化された。しかし、その後の法周知と職場受け入れ状況については不明である。そこで1回目の調査では、職場における補助犬受け入れ程度と補助犬法周知度について調査を行った。全国の23業種、合計6062施設に対して無記名式の質問紙を郵送し、得られた有効回答数は1614件であった(回収率26.6%)。補助犬法について、"内容も知っている"のは13.1%、"名称のみ知っている"のは40.1%、"名称も内容も知らない"のは44.9%と最も高かった。職場として補助犬を受け入れているのは3件のみであった。補助犬受け入れに必要な事柄として、設備の改善(67.22%)、一般の理解を得るための啓発(39.84%)が多く挙げられていた。補助犬法についてよく知っているほど、また、補助犬関連知識があるほど、将来の補助犬使用者雇用に積極的であることが示された。 2回目の調査では、補助犬使用者受け入れについて努力義務を負う、住宅管理業者について、補助犬法周知と住宅における補助犬受け入れの現状について1回目と同様の方法により調査を行った。全国の469業者に質問紙を郵送し、計128件の回答を得た(回収率27.3%)。補助犬法の内容まで"知っている"のは5%、"名称のみ知っている"のは35%、"名称も内容も知らない"のは60%であったが、補助犬法についてよく知っているほど、今後の受け入れ可能性が大きくなることが示された。補助犬使用者の社会参加を目指す補助犬法の目的を達成するためには、補助犬および補助犬法についての知識普及と啓発をより一層目指すことが重要であることが示された。また、今後の受け入れ促進に必要な事項についても分析を進めており、今後より具体的な施策を検討する上で、本研究は意義深いと言える。なお、研究結果は本年度の日本心理学会および日本社会心理学会で発表の予定である。
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