2011 Fiscal Year Annual Research Report
外国人高齢者障害者の生活支援に関する調査~外国人福祉委員制度の確立にむけて
Project/Area Number |
22530663
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Research Institution | Ryukoku University Faculty of Junior College |
Principal Investigator |
加藤 博史 龍谷大学短期大学部, その他部局等, 教授 (50185865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 亘 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (30268148)
小川 栄二 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (20340482)
MENSENDIEK M 同志社大学, 社会学部, 准教授 (00288599)
山田 裕子 同志社大学, 社会学部, 教授 (80278457)
石川 久仁子 大阪人間科学大学, 人間科学部, 准教授 (40411730)
牧田 幸文 福山市立大学, その他部局等, その他 (00555336)
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Keywords | 外国人 / 高齢者 / 障害者 / 生活支援 / 外国人福祉委員 / 民生委員 / 中国帰国者 |
Research Abstract |
平成23年度は、前年度に行った中国残留孤児帰国者が集住する京都市伏見区小栗栖団地と、在日コリアンが戦前から集住する京都市南区東九条においてアクション・リサーチを行った結果の分析を行った。また、5月に民族団体の協力を得て、東九条において在日コリアンだけの追加調査を同じ調査票を用いて行った。回収データ64人、拒否や不在が14人、回収率は82.1%であった。 調査の結果、民生委員より肌理細やかに地域の高齢者の見守りを行っている「老人福祉員」を知っている人と、「幸福感」が比較的高い人が重なっていることが判明した。福祉関係者を知っている高齢者は、日本人43%、コリアン32.6%、中国帰国者20%であった。言葉や習慣の違いが壁になっていることが明らかとなった。不幸感を持っている高齢者は、日本人6.4%、中国帰国者10%、コリアン20%、幸福感を持っている高齢者は、日本人44.5%、コリアン35.7%、中国帰国者10%であった。以上の調査結果からも外国人福祉委員の必要性が明らかとなった。 また、地理情報システム(GIS)を用いて分析したところ、「困ったことがたくさんあるにもかかわらず相談する人がいない」という地域が浮かび上がってきた。このような地域格差も意識しつつ、地域の見守りシステムを構築していかねばならない。 平成23年8月に専門機関や研究者中心の調査結果報告会を開催した。平成23年10月に陶化学区住民向けの調査報告会を開催した。平成23年11月に山王学区住民向けに調査結果の報告会を行った。平成23年12月に小栗栖市営団地住民向けの調査報告会を開催した。いずれも協力いただいた住民には高い評価をもらった。かつ、コリアンの高齢者や中国残留孤児帰国者の置かれている状況と外国人福祉委員の意義について理解を促進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①調査回収率が8割り近くあった。②外国人福祉委員の参画によって委員としての仕事内容の理解とモチベーションがあがった。③地域住民に調査結果をポイントを押さえて返す(報告会を開催する)ことにより、地域住民との協働のための関係基盤が形成された。④大学生の関わり方に関して方向性が確認された。⑤地域の諸団体や福祉サービス機関、社会福祉協議会、行政との連携の基盤が形成された。⑥研究者と地域の民生委員、老人福祉員との座談会を開催することができ、地域の歴史の中で民生委員が培われてきた経緯を理解することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
地域の高齢者の見守りシステム全体の中で、外国人福祉委員の役割と機能を位置づけていくために、当初の計画通り、民生委員の調査を実施したい。また、外国人福祉委員と民生委員、老人福祉員との座談会を、相互理解を推進するために開催したいと考えている。
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