2010 Fiscal Year Annual Research Report
空間的視点取得能力の生涯発達と障害へのリハビリテーションに関する研究
Project/Area Number |
22530700
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
渡部 雅之 滋賀大学, 教育学部, 教授 (40201230)
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Keywords | 実験系心理学 / リハビリテーション |
Research Abstract |
空間的視点取得能力の生涯発達過程を解明するために、幼児から(障害を有する者を含む)高齢者までの年齢層にわたる計349名に協力いただき、独自に開発した空間的視点取得課題((株)新生代より「くるくるかくれんぼ」の名称で製品化)を実施した。これは、被験者が鬼となって隠れた子どもを捜す隠れん坊ゲームであり、手に巻いた専用バンドの動きをゲーム機本体のカメラが感じ取り、テレビ画面上に仮想掌として映し出した。ゲーム画面に現れた家には左右対象な2つの窓があり、いずれかから子どもが顔をのぞかせ、すぐに窓枠に隠れた。隠れている窓に仮想掌を合わせることで、子どもを見つけ出すことができた。反応時間と正答数の2種を指標として分析を行ったところ、各世代の能力特性が明らかになった。年齢群を要因とするクラスカル・ウォリス検定を行ったところ、反応時間差と正答数とも有意だった。反応時間差の生涯発達曲線は幼児期から児童期にかけて急速に低下(視点移動速度が早くなることを意味する)した後に、再び上昇した。ただし、Sceheffe法による多重比較では、50歳代以降の成績には変化がなかった。正答数については、幼児の平均が低かった他は、大きな発達的変化は見られなかった。これらのことから、健常ならば高齢期の能力低下は穏やかである可能性が示唆された。ただし、40歳代以降の年齢群で個人差が広がることも示された。一方幼児は、反応時間差・正答数ともに能力の低さが示された。これまでしばしば加齢に伴う成績低下が指摘されてきたが、本研究の成果はこの常識を覆し、視点取得能力が急激に低下する可能性は低いことを示す画期的なものであった。
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Research Products
(4 results)