Research Abstract |
学校不適応に対する教育現場の対応は,スクールカウンセラー(以下SC)の貢献が期待されているところではあるが,SCの配置が不十分であることに加え,その原因が多岐にわたることなどから,より効果的に運用していく必要がある。本研究の目的は,より実効性の高い臨床的介入プログラムの策定とその効果測定である。これにむけて,(1)一般児童を対象とした調査研究,(2)小集団を対象とした対人スキルトレーニング・プログラム,(3)対象者を限定した臨床的介入,の三段階からなる包括的アプローチの実践モデルを用い,実践の中心となるSCの教育プログラムを開発する。 第一段階は,集合的,臨床的データの収集と蓄積の段階である。これまでの蓄積に加え,臨床的所見からみた変数(項目)の洗い出しと調査項目の洗練を行う段階である。 平成22年度は研究の第一段階に相当し,当初の計画通り,一次アプローチによるスクリーニングテストの確立を目的として集合的,臨床的データの収集を行った。数回の研究会を開き,臨床的所見からみた変数(項目)の洗い出しと調査項目の洗練を行った。また,12月と2月の二回にわたり,山口県下の公立中学校でのべ1000人弱の調査データを収集,スクリーニングテストの策定にむけて研究が進行中である。 第一次調査(12月,約800名),第二次調査(2月,約200名)の調査を行うことにより,概念的妥当性の高い尺度を構成することが可能になった。この成果は平成23年度の日本心理学会大会などで報告され,同時に山口県教育委員会に於ける不登校に関わるWG会議でも報告された。山口県教育委員会では,この結果を受けて平成23年度より県下で標準化された適応感検査として利用する計画が進められている。
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