2010 Fiscal Year Annual Research Report
認知的要素を重視した長期的学級集団SSTのメンタルヘルス向上に及ぼす効果の検討
Project/Area Number |
22530745
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
佐藤 容子 宮崎大学, 教育文化学部, 教授 (50196284)
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Keywords | 社会的スキル / 学級集団への介入 / 認知の偏り / 抑うつ |
Research Abstract |
小学校4・5・6年生、合計276名(男148名、女128名)を対象に、「小学生版自尊感情尺度」、「児童用社会的スキル尺度」、「児童用認知の誤り尺度」、「小児期うつ病スケール」を実施した。その結果、小学生の自尊感情は学年とともに低下し、社会的スキルは5・6年生は4年生よりも得点が低かった。また、自尊心と社会的スキルの間、また、認知の誤りと抑うつの間には正の相関がみられた。これに対して、自尊心と認知の誤りの間、そして自尊心と抑うつの間、社会的スキルと抑うつの間には、それぞれ負の相関が見られた。 これらの結果を受けて、1セッション45分、4セッションにわたる学級集団を対象とした介入を行った。そのうち第1セッションでは、「自尊心の大切さ」に焦点を当てた内容で、自分の生活を見直し、感謝の気持ちと、あるがままの自分を受け入れることを強調した。第2セッションでは、向社会的スキルの指導を行った。第3セッションと第4セッションでは、認知の偏りに焦点を当て、自分の感情と認知との関係に気づかせ、不適応的な認知を修正することを指導した。 介入の結果、自尊感情と社会的スキルの得点はそれぞれ増加し、認知の誤りと抑うつ得点はそれぞれ減少が見られた。また、自尊感情得点の増加は、介入前の時点での自尊感情高群には見られず、自尊感情低群であった児童において明らかであった。 以上の結果から、小学生のメンタルヘルス上の問題を改善するために、認知的要素に焦点を当てた集団的介入プログラムが有効であることが明らかになった。
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