2011 Fiscal Year Annual Research Report
耳撃証言:ストレス下における発話者の同定と発話の意味内容の記憶
Project/Area Number |
22530800
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
厳島 行雄 日本大学, 文理学部, 教授 (20147698)
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Keywords | 耳撃証言 / ストレス / 意味の記憶 / 声の記憶 |
Research Abstract |
耳撃証言の正確さに影響する要因の検討として、情動を要因とした要因(研究計画1)と耳撃の対象となる人物の数を要因とした研究(研究計画2)を行った。研究計画1では、情動喚起の方法としては恐怖映像を提示し(中立的な感情状態での刺激はトトロであった)、その提示の間に電話がかかってくることを想定し、その電話に出た相手の声をどの程度記憶によって惜別可能かを検討した。結果は中立条件で32人中3人のヒット、情動条件で34人8人のヒットであった。この結果は統計的に有意ではなく、その後は実験参加者を増やして、現在実験を継続している。さらに情動反応を主観的評価によって測定していたが、今回の計画からは、唾液からコルチゾールを検出する方法も採用した。生理的指標から情動経験を測定する試みである。 研究計画2では、複数の人物が学校で起こった事故に関して電話で報告するという設定のもと、実際には3人の話者が登場するという計画での耳撃実験を行った。この3人の会話をすべて聴取する条件(ランダム聴取条件とストーリーを構成する条件を用意)とただ一人を聞く条件を用意して実験を行った。結果は一人を単独で聴取して識別する条件で最も成績が優れていた。またストリー性が保たれた条件は、それをランダムに配置された条件と比較し、成績が幾分とも劣るという結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験データは順調に得られているものの、学会発表等の進捗が遅れているのが事実である。これは既存の研究が少ないこともあって、理論的背景を作る作業に幾分とも遅れが生じているためである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方向としては、現在継続中のデータ取得(研究計画1)を完成させること、新たな画像刺激での情動の要因検討を計画している。また研究計画2では、先行の刺激で一人ずつの発話が長かったことによって、ストリー性の効果が得られなかったので、この点を修正しての刺激づくりを現在、行っている。連休明けには新しい刺激を使用しての、声の数の関数としての識別の正確さの実験検討が行える。
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Research Products
(2 results)