2011 Fiscal Year Annual Research Report
プロジェクトゼロに学ぶ学習過程の可視化と図工美術科の授業研究の支援システムの構築
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22530811
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
池内 慈朗 埼玉大学, 教育学部, 教授 (10324138)
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Keywords | 学習の可視化 / パフォーマンス評価 / ハワード・ガードナー / ハーバード・プロジェクト・ゼロ / 美術教育 / レッジョ・エミリア / Making Learning Visible |
Research Abstract |
初年度のMLVプロジェクトの実践とプロジェクト・ゼロ等の現地調査での成果をもとに、二年目である本年度、第一の研究内容はドキュメンテーションのノウハウを援用した具体的な「授業研究の方法」の研究を遂行した。他教科でも問題とされているパフォーマンス評価の解釈を参照しつつ、プロジェクト・ゼロのハワード・ガードナーの認知的見解をもとに「学習の可視化」の多様な視点からの評価が、<文脈><場面><状況>を考慮した美術教育でのパフォーマンス評価について研究し、海外の事例の研究を行うことが出来た(論文を学会誌に発表)。図工・美術科の授業研究は体系化されていない部分が多く、本研究によりコンピテンス自体は見えないが、見えるのはパフォーマンスであり、多くの状況でパフォーマンスによって可視化される方法としてのドキュメンテーションの意味合いが明確化された。授業分析の方法「学習の可視化」の多様な視点からの評価という点でも、今後、教育現場に応用できるという重要な意義を見いだせた。第二の研究内容は、授業の評価方法について、ドキュメンテーションとポートフォリオの比較を行い相違点と両者を併用する可能性の研究を行った。図工・美術科の評価方法は他教科に比べ曖昧さの多いといった問題点があるが、両者を併用することでオーセンティック評価としての「学習の可視化」の研究に対する重要性が見いだせた。(博士論文・第7章5節で著述し、発表した)。また、アメリカ教育学会(第23回大会)でのシンポジウム「テーマ:アメリカの個性化教育の理念と方法を活かす」(招待パネリストとして)ではMLVプロジェクトの実践とプロジェクト・ゼロの諸理論について研究成果を発表でき多くの同学会員よりポジティブな評価を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
授業の評価方法について、ドキュメンテーションとポートフォリオの相違点の調査、両者を併用する可能性の研究を行った。両者の中でパフォーマンス評価をどのように具現化していくのかという研究を進め、学会誌、博士論文、シンポジウム(招待パネリストとして)成果を発表できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、前年度の図工・美術科におけMLVプロジェクト訪問の成果を総合的に活かした、ドキュメンテーションを援用した実際に使える具体的な「学習の可視化」のできる「授業研究の支援システム」の「理論」から「実践化」へのデザインの着手を行う。6~7月、代表者・池内の所属する埼玉大学教育学部の附属小学校(2年目も研究協力を得ている)の図画工作科の教員たちの協力のもとに、昨年度の成果である、ドキュメンテーションとポートフォリオの両者を併用し、パフォーマンス評価の具現化を行った授業分析を試行し、ビデオ撮影等を行う。8-10月、附属小学校の教員たちと具体的な授業研究のデザインを改善点を検討する。図画工作科における<文脈><場面><状況>を考慮した「学習の可視化」の授業研究の「支援システムの構築」の具体例の作成を行う。11月、実践した授業分析のビデオ等をもとに意見交換の機会をもち授業分析法に修正を加える。改良後の作成された、パフォーマンス評価の具現化を行った授業分析を、成果を学会誌等で発表公表し、関連学会の会員からも広く意見を求める。
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Research Products
(4 results)