2010 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における学校と儀式、国旗・国歌との関係に関する史的研究
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22530832
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小野 雅章 日本大学, 文理学部, 教授 (70224277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨士原 雅弘 日本大学, 文理学部, 助教 (30339238)
宇内 一文 日本大学, 文理学部, 助教 (60546266)
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Keywords | 学校儀式 / 国旗 / 国歌 / 戦後教育改革 / 小学校令施行規則 / 卒業式 / 入学式 / 象徴天皇制 |
Research Abstract |
本研究は、近代日本における学校と儀式、国旗・国歌との関係について実証的に究明することを目的とするものである。本年度は、「研究実施計画」にもとづき、(1)研究課題に関連する先行研究の批判的検討と日本大学文理学部教育学研究室所蔵の関連史料の調査および目録の作成、(2)国立国会図書館、国立公文書館、国立教育政策研究所附属図書館における文部省・内務省関係の戦前の関連史料、および文部省関係の史料の収集と整理、(3)秋田県公文書館、愛知県公文書館、高知県立図書館における戦後の関連史料の調査・収集と整理、(4)本年度の研究成果の公表として、日本教育史研究会サマーセミナー(2010年8月17・18日於日本大学文理学部)で口頭発表を行い、その成果をもとにして、研究室紀要への論文掲載を行った。 本研究の過程で、次の二点を明らかにすることができた。第一点は、戦前日本における三大節学校儀式の原型の成立は1900年の小学校令施行規則に求めることができ、そこには「君が代」の斉唱が含まれていたこと。この三大節学校儀式の式目をもとにしながら、1910年代以降に、卒業式や入学式の内容が成立していったが、そこに「日の丸」の掲揚は見られなかったことである。それにより、学校儀式への「日の丸」の登場は、1930年代以降であろうとの仮説を立てることもできた。第二点は、戦後の学校儀式の概要の究明である。一般に、祝日の学校儀式は戦後教育改革において、学校から消滅したとされていたが、本年度の史料調査により、戦後教育改革期を通じて祝日学校儀式は、継続されており、それは象徴天皇制を承認したGHQの認めるものであったこと、さらにその儀式には、「日の丸」の掲揚も「君が代」の斉唱もあったことも明らかにした。象徴天皇制のもと、それに基づく学校儀式が存続していたことを歴史的にどう評価するのかが、今後の課題として残されている。
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Research Products
(3 results)